台湾民衆党主席に汚職容疑=家宅捜索、第3勢力支持低下 2024年08月30日 18時16分
【台北時事】台湾政界の第3勢力として存在感を高めていた民衆党の柯文哲主席(党首)に汚職の疑いがかけられ、捜査当局は30日、柯氏の自宅や事務所を家宅捜索した。このほかにも政治資金を巡る疑惑が相次いで浮上し、民衆党の支持率は低下を続けている。
柯氏は台北市長時代(2014~22年)に商業施設の開発に絡み業者に便宜を図った疑いが持たれている。検察は贈収賄の疑いで柯氏らの捜査に乗り出した。柯氏は30日の家宅捜索後、記者団に「当局はこの行為の根拠と理由をはっきりと説明しなければならない」と訴えた。
一方、柯氏はこれに先立つ29日、記者会見を開いて「党の信頼を傷つけ、支持者を失望させた」と謝罪。主席を3カ月間休職する考えを表明した。同席した民衆党幹部は、柯氏が立候補した1月の総統選に関する政治献金を巡り、約1900万台湾ドル(約8600万円)分の申告ミスがあったと明らかにした。ただ、全額が選挙に使用され「流用や使途不明金はなかった」と主張した。
これ以外にも、選挙補助金4300万台湾ドルを使用し柯氏の個人名義で不動産を購入していたことが発覚。有権者の視線は厳しくなる一方だ。
民間団体「台湾民意基金会」の世論調査によると、民衆党の8月の支持率は13.8%で、1月の22.5%から大幅に低下した。党内からは柯氏の主席交代を求める声も上がっている。
柯氏は二大政党の与党・民進党と最大野党・国民党への批判の受け皿として19年に民衆党を創設した。従来の政治家のイメージと異なる奔放な発言が若年層の支持を集め、党勢は徐々に拡大。今年1月に総統選と同時実施された立法委員(国会議員、定数113)選で8議席を獲得し、いずれも単独過半数に届かなかった民進・国民両党の間でキャスチングボートを握っている。