水素社会、アンモニア不可欠=政府支援でコスト最安―米新興企業CEO 2024年08月30日 14時39分
【ニューヨーク時事】米アンモニア製造新興企業ファースト・アンモニアのモーザー最高経営責任者(CEO)は30日までに時事通信の取材に応じ、今後到来する水素社会には、運び役を担うアンモニアの存在が不可欠との認識を示した。製造過程で二酸化炭素(CO2)が出ない「グリーンアンモニア」は、政府の支援が手厚い米国が世界で最も安く作れると強調した。
モーザーCEOは「水素は爆発しやすく、取り扱いが非常に難しい」と指摘。一方、水素に窒素を加えて合成されるアンモニアは「プロパンと性質が似ており、一般に普及している貯蔵施設を活用できる」とし、「水素をアンモニアに変えて運び、再び戻す方が低コストだ」と訴えた。
バイデン米政権は、インフレ抑制法を通じて脱炭素関連事業を積極支援している。このためモーザー氏は、米国ではグリーンアンモニアの製造コストが世界で最も低く抑えられると説明した。
11月の大統領選で共和党のトランプ前大統領が返り咲いた場合、政府の脱炭素支援策が撤回される可能性もある。ただ、グリーンアンモニアを支援する枠組みに対しては「超党派の支持がある」とモーザー氏は話し、「ひっくり返りはしないだろう」と予想した。