脱炭素化でアンモニアに脚光=水素の輸送・貯蔵手段―海外で製造、日本へ 2024年08月30日 14時38分

 【ニューヨーク時事】脱炭素エネルギーとして期待される水素の活用拡大に向け、輸送や貯蔵の手段となるアンモニアが脚光を浴びている。北米などで日本の商社や企業が携わる製造プロジェクトが進み、日本を含む世界各地に輸出される見通しだ。
 水素は気体の状態ではエネルギー密度が非常に小さいほか、液化にはマイナス253度まで冷やす必要があり、大量輸送や貯蔵が難しい。一方、水素に窒素を合成したアンモニアは比較的液化しやすく、水素の運び役として期待されている。
 現在は天然ガスなど化石燃料由来の「グレーアンモニア」がほとんどを占め、製造時に出る二酸化炭素(CO2)が課題だ。そこで三菱商事や三井物産、丸紅、伊藤忠商事の各社は、生産過程で排出されるCO2を回収して地中に埋めるなどする「ブルーアンモニア」に着目。北米や中東で2027~30年ごろに製造を始める予定だ。
 さらに、再生可能エネルギー由来で製造時にCO2が出ない「グリーンアンモニア」でも動きが見られる。より低コストの「ブルー」に先行されているが、欧州などでの環境規制強化に伴い、今後需要が高まりそうだ。
 米新興企業ファースト・アンモニアは、南部テキサス州ビクトリア港でグリーンアンモニア生産施設を整備。26年末に稼働を始め、30年代半ばまでに世界最大となる年500万トンの製造を目標に掲げる。日本のエネルギー企業や米欧の投資機関から計約3000万ドル(約43億円)を近く調達するほか、日本の大手行などからも融資を受ける見通しだ。
 

 ◇アンモニアの種類
グレーアンモニア
化石燃料から作る。製造時に二酸化炭素(CO2)を排出

ブルーアンモニア
化石燃料から作るが、製造時に出るCO2を回収し地中に埋めるなどして除去

グリーンアンモニア
再生可能エネルギー由来で製造時のCO2排出がない。 

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