住宅支援、若年世帯に照準=子育て減税、インフレ対策も―ハリス米副大統領 2024年08月17日 14時30分

 【ワシントン時事】米大統領選の民主党候補、ハリス副大統領は16日発表した経済政策で、住宅購入支援や食品価格の抑制などを打ち出し、中間層を強化する姿勢を示した。特に、初めて住宅を購入する層や子育て世帯への支援を手厚くするなど、若年世帯に照準を合わせた政策が目立つ。ただ、財源への言及はなく、財政悪化が懸念されている。
 ハリス氏は、撤退を決めたバイデン大統領(81)と共和党候補のトランプ前大統領(78)による「高齢者対決」にへきえきしていた若者から支持を集めている。
 この日の演説でハリス氏は、住宅取得は「勤勉さがもたらす誇りの象徴だ」と強調。初めての住宅購入者に対する最大2万5000ドル(約370万円)の頭金支援や住宅建設への税制優遇などを、マイホーム取得時期を迎える若年世帯にアピールした。
 さらに、乳児を抱える中低所得世帯に最大6000ドル(約89万円)、子育て世帯に最大3600ドル(約53万円)の児童税額控除を導入する方針を表明。「トランプ氏は億万長者や大企業のために闘う。私たちは勤労世帯や中間層への還元を目指す」と対比してみせた。
 不満が高まるインフレを巡っては、食品価格の不当なつり上げを禁止する考えを表明。一方で、トランプ陣営が「旧ソ連式の価格統制だ」と批判を強めていることを念頭に置き、「食品業界の競争を促進する」必要性も強調した。
 ただ、一連の支援策に必要な財源は説明していない。超党派の非営利団体「責任ある連邦予算委員会」は、ハリス氏の政策により、財政赤字は10年間で1兆7000億ドル(約252兆円)拡大すると試算。住宅購入支援が恒久化されれば、さらに膨らむと警告している。 

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