北朝鮮に「自由」広げる=新統一案発表、対日関係言及せず―韓国大統領 2024年08月15日 12時17分

15日、ソウルで演説する韓国の尹錫悦大統領(AFP時事)
15日、ソウルで演説する韓国の尹錫悦大統領(AFP時事)

 【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領は15日、日本の植民地支配からの解放を記念する「光復節」の式典で演説した。北朝鮮の住民らに自由な韓国の姿を知らせ、統一への希望を抱かせることを盛り込んだ新たな「統一ドクトリン」を発表した。尹氏は「自由が剥奪された凍土の王国、貧困と飢餓に苦しむ北の地に、われわれが享受する自由が拡張されなければならない」と訴えた。
 光復節の演説では例年、日本を巡る発言が注目されるが、今回は対日関係に関する直接的な言及はなく、異例の形となった。
 新たな統一ドクトリンは、(1)国内での自由の価値観の醸成(2)北朝鮮住民の変化(3)国際社会との協力―により南北統一を目指す内容。尹氏は「北朝鮮の未来の世代に、自由統一の夢と希望を抱かせなければならない」と述べた。
 南北当局の実務レベルによる「対話協議体」の創設も北朝鮮に提案した。「ここでは緊張緩和から、経済協力や人的往来、災害・気候変動対応までいかなる問題も扱うことができる」と呼び掛け、南北離散家族や韓国人拉致問題など人道的懸案も協議したいと訴えた。
 ただ、北朝鮮は最近、韓国を「第一の敵対国」と位置付け、統一政策を転換。南北の緊張は高まっており、関係改善は現時点では見通せない。
 韓国政府はこれまで、1994年の「民族共同体統一案」を南北統一に関する公式見解としてきた。同案は(1)南北の和解・協力(2)南北連合(3)完全な統一国家―の3段階で統一を進めることを明記している。 

海外経済ニュース