イラン・イスラエル、報復で神経戦=自制圧力も翻意困難―ハマス指導者殺害1週間 2024年08月06日 19時24分
【イスタンブール時事】パレスチナのイスラム組織ハマス最高指導者ハニヤ氏がイランで暗殺されて7日で1週間。殺害に関与したとされるイスラエルと、報復を明言したイランの神経戦が続いている。イランが大規模攻撃を仕掛ければ、イスラエルの反撃を招き報復の応酬になるのは必至。国際社会は当事者に自制を求めるが、最高指導者ハメネイ師自ら報復を誓っただけに、強硬なイランの翻意は難しい状況だ。
イスラエル軍はハニヤ氏暗殺前日の7月30日、レバノンの首都ベイルートの空爆でイスラム教シーア派組織ヒズボラ軍事部門の最高幹部を殺害。ヒズボラは交戦が「新たな段階に入った」として報復を訴えた。後ろ盾となっているイランや、反イスラエルで共闘するイエメンの武装組織フーシ派、シリアやイラクのイラン代理勢力と連携し、報復の対象や規模、その後の影響も見極めているとみられる。
イスラエルのネタニヤフ首相は「われわれに危害を加えれば重い代償を払わせる」とけん制。ガラント国防相は5日、「迅速に攻撃に移ることも含め備えなければならない」と述べ、報復には断固反撃する意向を示した。攻撃の連鎖は中東の戦線を拡大させ、緊張激化を招く恐れがある。
ブリンケン米国務長官ら先進7カ国(G7)外相は4日、電話で会談。米ネットメディア「アクシオス」によれば、ブリンケン氏はイランやヒズボラ、イスラエルに「最大限の自制」を維持させるため、外交圧力を加えるよう各国に協力を求めた。
4月にイランがイスラエルを直接攻撃した際、米国などと迎撃に協力したヨルダンのサファディ外相も4日にイランを訪れて緊張緩和を訴えた。しかし、会談したペゼシュキアン大統領は「シオニスト(イスラエル)は過ちを犯した」と主張。精鋭軍事組織「革命防衛隊」のサラミ司令官も「強力な反応を受ければ誤算があったと(イスラエルは)思い知るだろう」と警告した。
イスラエルの反撃対象となり得るイランや親イラン組織は、報復後の備えを進めているもようだ。米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)はイラン当局者の話として、イランの要請に応じてロシアが高性能レーダーの供与を始めたと報道。中東メディアによると、ヒズボラは本拠を構えるベイルート南部から幹部らを退避させ、兵器なども場所を移したという。