米ロ、26人身柄交換=7カ国で釈放、トルコ経由―懸念や批判も 2024年08月02日 08時11分

1日、ワシントン近郊のアンドルーズ空軍基地でバイデン米大統領(右端)、ハリス副大統領(右から2番目)の出迎えを受け、母親と抱き合う米国人記者エバン・ゲルシコビッチ氏(左端)(EPA時事)
1日、ワシントン近郊のアンドルーズ空軍基地でバイデン米大統領(右端)、ハリス副大統領(右から2番目)の出迎えを受け、母親と抱き合う米国人記者エバン・ゲルシコビッチ氏(左端)(EPA時事)

 米国とロシアなど7カ国は1日、収監されていた24人に家族2人を含む計26人の身柄を交換した。移送はトルコの首都アンカラを経由。ホワイトハウスやロシア大統領府などが発表した。冷戦終結後では異例の人数で、仲介したトルコ政府は「近年で最大規模の交換」と強調した。
 ロシアでスパイ罪などで投獄されていた米国人記者エバン・ゲルシコビッチ氏(32)、元米海兵隊員ポール・ウィラン氏(54)、米政府系放送局編集者アルス・クルマシェワ氏(47)は米東部時間1日夜、ワシントン近郊のアンドルーズ空軍基地に到着。バイデン大統領やハリス副大統領らが迎えた。
 ロシアと同盟国ベラルーシが釈放したのは計16人。西側諸国が拘束を問題視したロシア人政治犯も含まれ、ドイツ西部ケルンの空港でショルツ独首相が出迎えた。野党指導者イリヤ・ヤシン氏(41)は笑顔の写真をSNSに投稿し、支援に謝意を示した。
 一方、米独など西側諸国は、ロシア人8人とその子供2人の計10人を引き渡した。ドイツで殺人罪で終身刑を受けた連邦保安局(FSB)のワジム・クラシコフ工作員(58)らは、モスクワの空港に政府専用機で帰国。儀仗(ぎじょう)兵が整列する中、プーチン大統領が一人ひとりと握手と抱擁を交わした。
 米ロ間の身柄交換は前例があるが、プーチン政権が今後も「カード」を得るために不当拘束を繰り返すとの懸念が拭えず、国際人権団体アムネスティ・インターナショナルは「後味が悪い」と指摘した。トランプ前米大統領はSNSで「殺人犯を釈放するのか」などとバイデン政権を批判した。
 今回の釈放に向けた交渉では、今年2月に獄死したロシア反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏=当時(47)=も対象に含まれたが、実現しなかった。側近らは政権に「殺害された」と今も訴えつつ、ロシア人政治犯の交換は「ナワリヌイ氏が対象者にいたおかげで実現した」と評価した。 

その他の写真

1日、モスクワのブヌコボ空港で、釈放された人々を出迎えるロシアのプーチン大統領(AFP時事)
1日、モスクワのブヌコボ空港で、釈放された人々を出迎えるロシアのプーチン大統領(AFP時事)

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