遺影の父と競歩観戦=64年代表石黒さんの長女―パリ五輪〔五輪〕 2024年08月02日 06時29分

1日、パリで、石黒昇さんの遺影を手に、パリ五輪の競歩を観戦する長女かおるさん(中央)
1日、パリで、石黒昇さんの遺影を手に、パリ五輪の競歩を観戦する長女かおるさん(中央)

 【パリ時事】1964年東京五輪の陸上男子20キロ競歩に日本代表として出場し、2021年に88歳で亡くなった石黒昇さんの長女かおるさん(62)が1日、パリ五輪の競歩を父の遺影と共に沿道で観戦した。
 現役を退いてからも後進の育成に尽力し、競歩を終生愛した石黒さん。かおるさんは遺影に「お父さん、パリに来たよ。見てる?」と話し掛けた。
 当初20年に開催予定だった2度目の東京五輪で、石黒さんは聖火ランナーに決まっていた。しかし、大会はコロナ禍で21年夏に延期。がんを患っていた石黒さんは同年2月、聖火のトーチを手にすることなく他界した。
 東京五輪の競歩は札幌市で行われた。かおるさんは感染対策のため、現地での観戦を断念した。それから3年。「パリ五輪にはどうしても父の遺影を持って応援に行きたい」と駆け付けた。
 1日の男子20キロ競歩は、パリのエッフェル塔の近くで熱戦が繰り広げられた。日本代表の3人は惜しくもメダルを逃したが、かおるさんは最後まで「頑張れ、頑張れ」と声援を送り続けた。 

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