日本移民、闇の歴史に光=ブラジル政府、迫害を初めて謝罪 2024年07月26日 14時29分

25日、ブラジリアで、ブラジル政府による謝罪後に日本とブラジルの国旗を振る傍聴者ら
25日、ブラジリアで、ブラジル政府による謝罪後に日本とブラジルの国旗を振る傍聴者ら

 【ブラジリア時事】ブラジル政府は25日、諮問機関「恩赦委員会」の会合を開き、第2次世界大戦で日本移民に行った迫害に対する間違いを認め、ブラジル政府として初めて正式に謝罪した。戦争の混乱で歴史の闇に葬り去られてきた蛮行に、戦後79年で光が当たることになった。
 同委が全会一致で謝罪を決定した。アルメイダ委員長は謝罪した上で、拷問や人種差別など日本移民が受けた仕打ちに触れて、「こうしたことが再び起きないよう次の世代に語り継ぐ」と表明した。
 日本移民は1943年7月、ブラジル南東部の港町サントスに住む約6500人がスパイの疑いで強制退去を命じられた。日々の暮らしが一変し、多くが家などの財産を失った。戦後には日本移民の間で日本の勝利を信じる人々が多数派となり、敗戦を受け止めた人々との激しい抗争に発展。勝利を信じ続けた人を含め約170人が刑務所に送られた。
 時間の経過とともに当時を知る人は少なくなった。ブラジル生まれの橋本和英さん(94)は強制退去を経験し、転居先では日本移民同士の抗争も目撃した。事前の取材に「苦しかった」と当時を思い出し「謝罪されても報われない」と口を結んだ。
 米国は1988年に日系人の強制収容に対して謝罪した。ブラジル政府の謝罪が遅れたことについて、邦字紙「ブラジル日報」の深沢正雪編集長(59)は、移民同士の抗争について「恥ずかしいことをしたという認識があった」ことで、日本移民側から謝罪などを言い出せなくなったためと分析した。今回の謝罪を通じて「ブラジルの歴史の一部として当時のことを見直す機運が高まれば」と期待を込めた。 

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