就任1カ月の頼総統を完全敵視=台湾独立警戒、臨戦態勢―中国 2024年06月20日 15時44分

台湾の頼清徳総統=19日、台北(EPA時事)
台湾の頼清徳総統=19日、台北(EPA時事)

 【北京時事】台湾の頼清徳総統が就任して、20日で1カ月となった。中国は頼氏が就任演説で台湾独立を示唆する発言をしたと受け止め、完全に敵視。独立の動きに備え軍が臨戦態勢に入ったもようで、頼氏の動向次第で軍事的な威嚇を繰り返す構えだ。頼政権が続く限り、中国の敵視政策は変わらず、中台の歩み寄りは全く期待できない状況となっている。
 中国が特に反発する就任演説での文言は「中華民国(台湾)と中華人民共和国(中国)は互いに隷属しない」「中華民国は主権独立国家」「(中華民国などに加え)『台湾』も、われわれ自身や世界の友人が呼称している国名」の3点。台湾を中国の一部とする「一つの中国」原則を堅持する習近平政権には、いずれも絶対に受け入れられない認識だ。
 頼氏の発言に激怒した中国は「懲罰」として5月23、24両日、台湾を取り囲み大規模軍事演習を実施。中国国防省の報道官は「台湾独立勢力が挑発してくれば、われわれはさらに反撃し、それは祖国完全統一の実現まで続く」として、頼氏次第で軍事威嚇を繰り返す方針を明言した。
 中国が懸念するのは、事実上の「独立」状態が固定化することだ。中台分断から70年以上がたち、台湾では頼氏の発言に共感する人は多い。台湾の大学が実施した世論調査によれば、「自分は中国人」と考える人は1992年に25%いたが、2023年は2%に減少。「台湾人」は61%で「台湾人であり中国人でもある」は32%だった。
 頼氏の任期は28年までの4年間。中国は再選阻止に向け、軍事的威圧や台湾産品の輸入関税引き上げに加え、台湾最大野党・国民党と協調して頼政権の孤立化を図ると予想される。しかし、今のところ頼氏がひるむ様子はない。 

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