「遅滞なく軍事支援」=全文公開、「同盟」復活―ロ朝新条約 2024年06月20日 10時35分

19日、平壌の金日成広場でロシアのプーチン大統領(左)と握手する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記=朝鮮中央通信が20日配信(AFP時事)
19日、平壌の金日成広場でロシアのプーチン大統領(左)と握手する北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記=朝鮮中央通信が20日配信(AFP時事)

 【ソウル時事】北朝鮮の朝鮮中央通信は20日、金正恩朝鮮労働党総書記がロシアのプーチン大統領と19日に署名した「包括的戦略パートナーシップ条約」の全文を伝えた。いずれかが戦争状態になれば、保有しているすべての手段で遅滞なく軍事支援を行うと定めており、東西冷戦時代の「軍事同盟」が復活したと言えそうだ。
 正恩氏は19日の首脳会談後に行った記者発表で、ロ朝関係が同盟水準まで引き上げられたと強調。プーチン氏は「一方が攻撃された場合の相互支援も規定されている」と述べていた。
 条約は全23条から成る。第4条は「一方が武力侵攻を受け、戦争状態に置かれた場合、遅滞なく保有するすべての手段で軍事や他の援助を提供する」と明記。集団的自衛権について定めた国連憲章第51条とロ朝双方の国内法に準ずるとしている。
 旧ソ連時代の「ソ朝友好協力相互援助条約」は、一方が攻撃を受けた場合の軍事支援を規定していた。新条約の「武力侵攻」などの文言に解釈の余地は残るものの、旧条約とほぼ同様の内容が復活した。
 新条約は、「一方的な強制措置の適用に反対し、不法で国連憲章と国際法的規範に抵触する行為と見なす」とも記した。国連安保理決議に基づく対北朝鮮制裁に反対し、共に対抗する意思を示したとみられる。
 このほか、武力侵略行為の脅威に直面した場合に遅滞なく交渉することや、防衛能力を強化するための共同措置を取る制度を設けることも明記。貿易での協調や宇宙・原子力を含む科学技術分野での協力拡大も盛り込んだ。
 新条約は無期限。批准後に効力が発生し、現行の「友好善隣協力条約」は失効する。同条約は2000年にプーチン氏が初めて訪朝した際に締結された。軍事協力を明記せず、冷戦期の軍事同盟的な性格が弱められたと評されていた。 

その他の写真

19日、平壌で新条約の調印式に臨むロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(EPA時事)
19日、平壌で新条約の調印式に臨むロシアのプーチン大統領(左)と北朝鮮の金正恩朝鮮労働党総書記(EPA時事)

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