男性優位の国、女性トップに期待=レスラーのミル・マスカラス氏―メキシコ 2024年06月01日 14時29分

インタビューに応じた、レスラーのミル・マスカラス氏=5月29日、メキシコ市
インタビューに応じた、レスラーのミル・マスカラス氏=5月29日、メキシコ市

 【メキシコ市時事】「千の顔を持つ男」として知られるメキシコ人レスラー、ミル・マスカラス氏(81)が、時事通信のインタビューに応じた。メキシコでは「マチスモ」という男性優位主義が根強いが、マチスモの象徴とされた同国のプロレス界でこうした考えが薄れてきたとの認識を表明。6月2日の選挙で確実視される同国初の女性大統領誕生に期待を示した。
 米国で日本人の妻、娘2人と暮らしているというマスカラス氏は、投票のためメキシコに一時帰国した。スポーツを通じ母国と日本の相互理解の促進に寄与したとして、2021年秋の叙勲で旭日双光章を受章した。
 マスカラス氏は「男性が長い間あらゆることを管理してきた」とマチスモが浸透したかつての社会状況を振り返った。しかし、メキシコのプロレス界では自身のデビュー当時には女性レスラーがいたと指摘。興行面では現在、組織の幹部に女性が就くようになったと説明し、「女性はあらゆる面で男性と同じ権利を持っているという意識が少しずつ目覚めている」と強調した。
 与野党の女性2候補が争う大統領選に関しては、「どちらが勝っても素晴らしい大統領になると確信している。チャンスがあれば自ら前に出て、人々が前進するのを助けるのは良いことだ」と述べた。
 自身については、今でもトレーニングを欠かさず「闘うことはできる」と、「生涯現役」を宣言。「アスリートに重要なことは食生活だ」として、たばこを吸わず、酒も多くは飲まないなど健康の秘訣(ひけつ)を語った。

 
 ◇ミル・マスカラス氏略歴
 ミル・マスカラス氏 42年7月、メキシコ中部サンルイスポトシ生まれ。試合ごとに覆面を変えるというプロモーション戦略から、スペイン語で「千の覆面」を意味するミル・マスカラスのリングネームでデビュー。71年に初来日すると、フライング・クロスチョップなど華麗な空中殺法で人気レスラーとなり、弟のドス・カラス氏とのタッグで活躍。ジャイアント馬場、ジャンボ鶴田らと激戦を繰り広げた。12年に米プロレス団体WWE殿堂入り。 

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