南シナ海問題で中国けん制=米同盟網の優位強調―オースティン長官 2024年06月01日 10時28分

1日、シンガポールで開かれているアジア安全保障会議で演説するオースティン米国防長官(AFP時事)
1日、シンガポールで開かれているアジア安全保障会議で演説するオースティン米国防長官(AFP時事)

 【シンガポール時事】オースティン米国防長官は1日、シンガポールで開かれているアジア安全保障会議(通称シャングリラ会合)で演説した。オースティン氏は、中国とフィリピンが対立を深める南シナ海情勢を巡り「フィリピンが直面する嫌がらせは危険だ」と述べ、覇権主義的な動きを強める中国をけん制した。
 各国の国防相や軍幹部が集まる会議では、米中関係が最大の焦点となっている。オースティン氏は5月31日の中国の董軍国防相との会談で「率直な議論を交わした」と明らかにし、「軍同士の直接対話に代わるものはない」と衝突回避のため対話を継続していく方針を示した。中国を明確に名指しした批判は控えた。
 オースティン氏は演説で、米国が中心となり各国と個別に同盟関係を結ぶ「ハブ・アンド・スポーク」から、米国や同盟各国が相互に結び付きを強める「新たな集約」に移行したと表明。各国による連携は「共通のビジョンと義務感に基づく、重なり合って相補う枠組みの集合だ」とも語り、こうした同盟網の進化こそ「インド太平洋の安全保障の新時代」の特徴だと強調した。
 また、「米国を含むインド太平洋各国は、主権と国際法の尊重という信念の下に結束している」と主張。中国を念頭に「法の支配を否定し、強制や侵略によって自分たちの意思を押し付けようとし続ける者もいるだろう」と指摘し、「インド太平洋の新たな集約は、全ての国のより良い未来を示すものだ」と米同盟網の優位性を訴えた。 

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