統一案に「自由の価値」反映へ=韓国政府、30年ぶり修正―大統領演説 2024年03月01日 19時01分

 【ソウル時事】韓国の尹錫悦大統領は1日の「三・一独立運動」記念式典の演説で、北朝鮮との統一に関し自由や人権といった普遍的価値を重視する考えを改めて示した。韓国政府は、1994年に発表し今も維持する「民族共同体統一案」を修正し、尹氏の意向を反映させる方針だ。
 「北朝鮮政権の暴政と人権じゅうりんは、人類普遍の価値を否定する。自由と人権といった普遍の価値を広げることが統一だ」。尹氏は演説でこう強調し、北朝鮮住民の人権状況改善に取り組む決意を表明した。
 民族共同体統一案は、(1)南北の和解・協力(2)南北連合(3)完全な統一国家―という3段階で統一を進めることを示している。これまで、韓国政府の南北統一に関する公式見解とされてきた。
 大統領府高官は1日、同案には「自由主義的哲学のビジョンが抜けている」と指摘。「尹政権の統一観、統一ビジョンをより具体化する作業を進める」と説明した。
 同案を巡っては、統一省が2024年までの改訂を目指す方針を示していた。南北関係の冷え込みや、分断の固定化などが背景にある。
 北朝鮮は最近、韓国を「第一の敵対国」と位置付け、平和統一政策の転換を宣言。これについて、尹氏は演説で「嘆かわしい」と述べ、「核・ミサイル開発に傾倒し、住民を絶望の沼に閉じ込めている」と非難した。 

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