保守強硬派の圧勝確実=穏健・改革派は排除―イラン国会選 2024年03月01日 14時26分

1日、テヘランで投票するイランの最高指導者ハメネイ師(ロイター時事)
1日、テヘランで投票するイランの最高指導者ハメネイ師(ロイター時事)

 【イスタンブール時事】イランで1日、国会(定数290、任期4年)議員選挙が行われた。反米急先鋒(せんぽう)の最高指導者ハメネイ師やライシ大統領に協調する保守強硬派の勝利が確実視されている。米国やイスラエルを敵視し、中国やロシアとの連携を志向する保守強硬派が基盤を強化すれば、今後も欧米との緊張が続くとみられる。
 前回2020年の国会選では保守強硬派が議席の7割超を獲得した。イランでは選挙に先立ち、保守強硬派が主導する「護憲評議会」が立候補資格を審査するが、今回も強硬派と対立する穏健・改革派の多くが失格となった。最終的な立候補者は1万5000人超に達するが、穏健勢力からは「競争が働かない不公正な選挙」と棄権を促す声も上がっている。
 イランは年率約40%の物価上昇に見舞われ、制裁下の経済不振は深刻だ。22年には女性の頭部を覆うスカーフの着用強制をきっかけに反体制デモが広がり、社会の動揺を恐れる当局の締め付けも続く。市民の不満は根強いが、選挙による変化への期待は乏しく、有権者の関心は低調だ。
 体制指導部は自らの信任を測る指標として投票率を重視する。ハメネイ師は1日、投票に際して「イランの選挙に世界が注目している」と訴えた。しかし、前回記録した約42%を下回り、1979年のイスラム革命以降の国会選で最低となる可能性もある。大勢判明は数日後になる見通しだ。
 84歳で健康不安を抱えるハメネイ師の後継問題が浮上する中、最高指導者の選出・罷免権を持つ「専門家会議」(定数88、任期8年)の選挙も同時に実施。ただ、穏健派代表格のロウハニ前大統領らが失格処分で排除されており、ロウハニ師は「政治的に偏った決定だ」と批判している。 

海外経済ニュース