保有資産に2%の最低税率を=超富裕層、著名学者が提唱―G20 2024年03月01日 07時37分

記者会見する著名経済学者ガブリエル・ズックマン氏=2月29日、ブラジル・サンパウロ(AFP時事)
記者会見する著名経済学者ガブリエル・ズックマン氏=2月29日、ブラジル・サンパウロ(AFP時事)

 【サンパウロ時事】格差や租税回避の研究で知られる著名経済学者ガブリエル・ズックマン氏は29日、ブラジル・サンパウロで記者会見し、超富裕層の保有資産に2%の最低税率を導入するよう訴えた。当地で開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に参加し、国際合意を求めた。
 ズックマン氏は「超富裕層への最低課税の議論は、長い間無視されてきた問題だが、今日変わり始めた」と意義を語った。
 会見で同氏は、現行の税体系では租税回避対策が少ないため、富裕層の税負担が軽くなっていると指摘。制度の違いから「課税対象がはっきりしない所得ではなく、定義がしっかりしている保有資産を対象にする方が容易だ」と説明した。
 また「税務当局が所得を追跡しやすくなっている」とも話し、税率の低い国に引っ越した場合でも、元の居住国当局が課税を継続できるようにするべきだと主張した。
 同日のG20では、議長国ブラジルのアダジ財務相が「世界の億万長者が、税を逃れているのは紛れもない事実だ」と強調。富裕層への国際課税の検討を呼び掛け、7月の同会議までにまとめるよう要請した。
 ズックマン氏は、パリ経済学院の研究機関「EUタックス・オブザーバトリー」のディレクターを務める。昨秋には、億万長者への実効税率が保有資産の0〜0.5%相当と低水準にとどまっているとの報告書を発表した。 

海外経済ニュース