「ウクライナ派兵」発言が波紋=フランス大統領言及、他の欧米諸国は否定 2024年02月28日 15時40分

フランスのマクロン大統領=26日、パリ(AFP時事)
フランスのマクロン大統領=26日、パリ(AFP時事)

 【ロンドン時事】ロシアによる侵攻が3年目に突入したウクライナへの軍事支援として、部隊派遣の可能性に言及したフランスのマクロン大統領の発言が、波紋を広げている。ロシアとの直接の軍事衝突につながりかねないだけに、他の欧米諸国首脳らは、こぞって「そうした計画はない」と否定。ロシアも強く反発した。
 マクロン氏は26日、欧州20カ国余りの首脳と閣僚が参加したウクライナ支援会合に際し、ウクライナへの将来的な部隊派遣の可能性を「排除すべきでない」と発言。「ロシアが勝利しないよう、あらゆる必要なことを行う」と主張した。
 これに対しスナク英首相は27日、報道官を通じ「現地でウクライナ軍を支えている要員以外に、大規模な部隊を展開させる計画はない」と否定。ドイツ、イタリア、スペイン、ポーランドなどの首脳や政府当局者も同様の見解を示した。米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官も「バイデン大統領は米軍をウクライナに送るつもりは全くない」と表明した。
 マクロン氏の発言の背景には、米議会で対ウクライナ支援を盛り込む法案可決のめどが立っていないことへの危機感がある。ロシアは最近、ウクライナ東部の激戦地アウディイウカを制圧。欧州では「ウクライナはロシアに勝てない」と悲観的な世論が広がっている。
 ただ、セジュルネ仏外相は27日の下院で「ウクライナでの地雷除去や兵器の現地生産といった需要に応えるため、新たな活動を検討する必要がある」と説明。部隊派遣の可能性を残しつつ「交戦(に巻き込まれない)という一線を越えるものではない」と火消しに努めた。
 AFP通信によると、ウクライナのポドリャク大統領府顧問は、マクロン氏の発言について「ウクライナの戦争が欧州にもたらすリスクを深く理解していることを示したもので、良い兆候だ」と評価。一方、ロシアのペスコフ大統領報道官は「(部隊派遣が)絶対的に欧米諸国の利益にならないと、肝に銘じるべきだ」と警告した。 

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スナク英首相=26日、中部グール(AFP時事)
スナク英首相=26日、中部グール(AFP時事)

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