滞在ロシア人に出国要請=違法ビジネス関与に反発―スリランカ 2024年02月27日 15時25分

スリランカ南部ミリッサの海岸を歩く観光客ら=2022年3月(AFP時事)
スリランカ南部ミリッサの海岸を歩く観光客ら=2022年3月(AFP時事)

 【ニューデリー時事】スリランカの入国管理当局は、長期滞在中のロシアとウクライナの観光客に3月7日までに出国するよう要請した。ロシアのウクライナ侵攻から2年がたち、航空便の運航が正常化したことを理由に挙げているが、背景には売春など違法なビジネスに関与するロシア人への反発もありそうだ。
 地元メディアによると、スリランカ政府は侵攻の影響で母国への帰国便がストップしたロシアとウクライナの国民に、30日間という観光ビザの期限の延長を認めてきた。徴兵から逃れるため、帰国便再開後も現地にとどまる人は多かった。
 しかし入管当局は今月22日、3月7日を期限に長期滞在者の出国を求める通達を出した。入管幹部はAFP通信に「運航状況は通常に戻り、帰国は難しくない」と説明した。
 長期滞在者を巡っては、主にロシア人が南部のリゾート地で売春に従事したり、経営する飲食店で地元住民が参加できない「白人限定」のパーティーを開こうとしたりしたことが報じられた。報道を受けSNS上では批判が広がっており、入管の判断に影響を与えた可能性がある。
 スリランカは2022年に事実上のデフォルト(債務不履行)に陥り、経済立て直しの途上にある。ロシア人によるビジネスは税金を納めていないケースが多く、地元経済を潤していないという。
 ただ、外国人観光客のうちロシア人はインド人に次ぎ2番目に多く、「送還」の影響は小さくない。スリランカ大統領府は25日、「事前の閣議決定がなかった」として通達の経緯に関する調査を命じた。ロシアとの関係悪化を懸念したとみられる。
 侵攻開始以降、スリランカでビザの延長が認められたロシア人は1万1400人超、ウクライナ人は約4000人と伝えられている。 

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