ロシア、核で北欧威嚇か=ウクライナ侵攻下のNATO拡大―軍管区改編で対抗 2024年02月27日 14時14分

ロシアのプーチン大統領(前列左)とショイグ国防相(同右)=23日、モスクワ(AFP時事)
ロシアのプーチン大統領(前列左)とショイグ国防相(同右)=23日、モスクワ(AFP時事)

 ロシアは、ウクライナ侵攻が招いた北大西洋条約機構(NATO)の北方拡大を深刻に受け止めている。昨年4月にNATO入りしたフィンランドとは長大な国境を接し、26日に加盟が決まったスウェーデンはバルト海を挟んで最西端カリーニングラード州と対峙(たいじ)。プーチン政権は着々と対策を講じ、核兵器による威嚇も強める構えだ。
 プーチン大統領は26日、ロシア西部を管轄し、北欧やウクライナ方面の対応に当たる西部軍管区について、機能強化を図るため「モスクワ軍管区」と「レニングラード軍管区」に分割する大統領令に署名した。
 西部軍管区は2010年にモスクワ、レニングラード両軍管区を統合してできたもので、元通りに2分割する。カリーニングラード州や、独立した軍管区として扱われていた北方艦隊は、北欧をにらむレニングラード軍管区に組み込まれる。
 ザハロワ外務省情報局長は1月26日、スウェーデンの加盟が「北欧とバルト海沿岸の安定に極めて悪い影響を与える」と指摘。「今後、政治・軍事的な対抗措置を取る」と警告していた。
 報道によると、国防省は核兵器を搭載可能なTU160超音速戦略爆撃機などを中部から北西部ムルマンスク州に一部移転。北欧と隣り合う位置で、ウクライナのドローン攻撃も避けられる。
 プーチン氏は2月22日、改良型のTU160Mに試乗。NATOの北方拡大完了を前に、陸海空による「核の3本柱」の一端を誇示した。バレンツ海やノルウェー海上空での戦略爆撃機の飛行が今後、増えるとみられる。
 スウェーデン加盟でバルト海が「NATOの湖」となれば、沿岸のカリーニングラード州はますます孤立する。プーチン政権は同州で、核弾頭を搭載できる地上発射型ミサイルシステム「イスカンデル」の演習を継続。昨年には同州に近い同盟国ベラルーシに戦術核を移転し、イスカンデルも引き渡した。
 さらに、ロシア軍はウクライナ侵攻の進捗(しんちょく)を踏まえながら、戦時下で昨年は見送った大規模軍事演習「ザーパド(西)」を将来的に実施する見通し。過去にも起きたロシア軍機によるスウェーデン領空侵犯も、繰り返される可能性がある。 

海外経済ニュース