集合住宅投資、新たな火種か=米NY、家賃規制の変更で 2024年02月25日 16時21分

集合住宅が並ぶ一角=22日、米ニューヨーク
集合住宅が並ぶ一角=22日、米ニューヨーク

 【ニューヨーク時事】米ニューヨークで集合住宅投資が抱えるリスクへの関心が高まっている。規制変更により、一部物件で家賃の大幅な引き上げが禁じられたことが原因で、関連融資を多く抱える地元地銀が経営不安に陥った。昨年から苦境が指摘されてきたオフィス市場以外にも、米不動産マーケットには火種がくすぶっている。
 ニューヨーク州では、手頃な居住先の供給を目的に、一部の集合住宅に対して家賃の上昇幅を抑える規制を導入。ニューヨーク市では賃貸物件の半分弱に当たる約100万戸が対象だ。以前の制度では、家主は物件の改修を通じて家賃を徐々に引き上げ、一定の水準に達すると規制対象から外すことができた。
 この手法は「うまみ」が多い投資として長年人気を集めていたが、2019年に州が規制を厳格化。家賃の引き上げ幅が以前より著しく制限され、改修しても費用の回収が難しくなった。さらにインフレや金利の上昇も追い打ちとなり、投資先としての魅力が急落。中には資産価値が半減してしまう物件も出てきた。
 こうした物件の家主は債務不履行に陥りやすく、銀行は売却しても融資を全額回収できない。先月末に経営不安が浮上した地銀持ち株会社ニューヨーク・コミュニティー・バンコープ(NYCB)は、家賃規制を受けた物件向け融資が全体の2割以上を占め、市場から警戒されている。
 ニューヨーク大不動産研究所のノーマン代表は、他の中堅地銀も集合住宅向け融資を手掛けていることを理由に「問題は広がる可能性がある」と分析。「人々は今後2、3年で何が起きるか注視している」と説明した。 

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