2期目は防衛重視=欧州委員長、続投の意向 2024年02月24日 15時31分

欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長=23日、ワルシャワ(AFP時事)
欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長=23日、ワルシャワ(AFP時事)

 【ブリュッセル時事】欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長(65)が、続投の意向を表明した。ロシアによるウクライナ侵攻の長期化を踏まえ、「内外の分断から欧州を守らなければならない」と強調。力を入れてきた気候変動対策に加え、2期目は防衛分野も重視する考えを示した。
 「もし次の欧州委員長に就任するなら、(新たに)防衛担当の欧州委員を任命する」。フォンデアライエン氏は、続投の意向を表明する2日前の17日、「ミュンヘン安全保障会議」でこう発言した。防衛分野での投資加速に向けた「防衛産業戦略」を近く発表する考えも明らかにした。
 フォンデアライエン氏はドイツ出身で、メルケル前首相と同じ中道右派「キリスト教民主同盟(CDU)」に所属する。ドイツ初の女性国防相を経て、2019年12月に欧州委員長に就任。最優先政策の一つに気候変動対策を掲げ、経済成長との両立を図る「欧州グリーンディール」に取り組んできた。巨大IT企業に対するデジタル規制やウクライナに侵攻するロシアへの制裁などでも、指導力を発揮した。
 目下の懸念は欧州グリーンディールへの逆風だ。昨今、燃料高やウクライナ産農産物の流入、EUによる環境規制に反発する農業関係者が相次いで抗議デモを実施。不満の受け皿となり各地で支持を広げる急進右派が、6月の欧州議会選挙でも議席を伸ばすと予想される中、既に一部の政策で変更を余儀なくされている。
 現執行部の任期は10月末まで。新たな欧州委員長は、欧州議会選の結果を踏まえて欧州理事会が人事を提案し、欧州議会が選出することになる。 

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