日本企業供託金、原告が初受領=日立造船の元徴用工訴訟―韓国 2024年02月20日 13時18分

韓国大法院(最高裁判所)=2022年11月、ソウル
韓国大法院(最高裁判所)=2022年11月、ソウル

 【ソウル時事】韓国最高裁で日立造船の敗訴が確定した元徴用工訴訟で、原告側は20日、同社が韓国の裁判所に預けた供託金6000万ウォン(約670万円)全額を同日付で受け取ったと明らかにした。元徴用工訴訟で日本企業の資金が原告に渡ったのは初めて。
 日立造船は二審敗訴後の2019年、韓国内の資産の強制執行を防ぐため、裁判所に供託金を預けた。最高裁は昨年12月、原告への5000万ウォンの賠償金と遅延利息の支払いを同社に命じた。勝訴確定を受け、原告側は先月、供託金受領の手続きに入り、ソウル中央地裁に認められた。
 日本政府は、1965年の日韓請求権協定で問題は解決済みとの立場。一連の訴訟で、日本企業は賠償金の支払いに応じてこなかった。韓国の尹錫悦政権は昨年3月、政府傘下の財団が賠償金を肩代わりする形で、勝訴が確定した原告に支給する解決策を発表した。
 林芳正官房長官は記者会見で「請求権協定に明らかに違反する判決に基づき、日本企業に不当な不利益を負わせるもので、極めて遺憾だ」と述べ、韓国政府に厳重に抗議すると表明した。また、裁判所に供託金を預けていた日本企業は日立造船のみで「特殊」なケースだと指摘した。
 韓国政府も、解決策の枠外で発生した特異な事例と位置付け、日韓間での問題拡大を防ぎたい考えだ。韓国外務省報道官は「財団から賠償金を支給するという政府の立場に変化はない」と強調した。
 日立造船は「現時点で事実確認ができていないため、コメントは差し控える」と説明した。 

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