ナワリヌイ氏の妻「遺志継ぐ」=反プーチン闘争を宣言―ロシア 2024年02月19日 22時37分

獄死したロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の妻ユリヤさん=16日、ドイツ南部ミュンヘン(AFP時事)
獄死したロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏の妻ユリヤさん=16日、ドイツ南部ミュンヘン(AFP時事)

 獄死したロシアの反体制派指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏(47)の妻ユリヤさん(47)は19日、ユーチューブに投稿した動画で、夫の遺志を継いで反プーチン政権闘争を続けると宣言した。18日には事件後初めてインスタグラムに写真を投稿し、短く「愛している」とつづった。
 悲報が世界に伝わった16日、ユリヤさんはドイツ南部ミュンヘンの国際会議で、自国民を弾圧するプーチン大統領に「責任を負わせる」と非難していた。欧州連合(EU)のボレル外交安全保障上級代表(外相)によれば、19日にはブリュッセルで会合に出席。西側諸国で今後、反プーチン政権の象徴的な存在となりそうだ。
 ユリヤさんは動画で「プーチン氏が殺害した。国民からナワリヌイ氏を奪った」と糾弾。経緯を知っていると主張し、「(容疑者の)名前と顔を公開する」と予告した。写真は、寄り添う夫婦の後ろ姿。ナワリヌイ氏がSNSを更新したのは「数千キロ離れていてもそばにいると感じる」と妻への思いをつづった14日のバレンタインデーが最後で、ユリヤさんの投稿はそれへの返事となった。
 2020年8月、ナワリヌイ氏が軍用神経剤を投与された毒殺未遂では、ユリヤさんの働き掛けでドイツでの治療が実現した。21年1月、ロシア当局に拘束を警告されながら帰国した際には、機内で夫の隣に座り「坊や、今から帰るよ」とプーチン氏を挑発するような発言もしていた。
 ユリヤさんは16日、滞在先のミュンヘンでロシアの同盟国ベラルーシの反政権派スベトラーナ・チハノフスカヤ氏と面会。チハノフスカヤ氏は20年、獄中の夫の代わりに大統領選に出馬し、ルカシェンコ大統領打倒を訴えた女性で、境遇は重なる。
 ただ、ユリヤさんは表立った政治活動をすれば、弾圧を受けて出国したナワリヌイ氏の陣営スタッフらのように長期の国外生活を余儀なくされる可能性がある。自身も20年7月に家族旅行中、何者かに毒を盛られたと伝えられているが、ユリヤさんは動画で「恐れはない」と強調した。 

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