保守層と和解で早期仮釈放=タクシン派政権長期化狙う―タイ 2024年02月18日 09時33分

タイのタクシン元首相=2023年8月(AFP時事)
タイのタクシン元首相=2023年8月(AFP時事)

 【バンコク時事】タイのタクシン元首相が帰国後に実刑判決を受けながら半年で自由の身となった背景には、長年対立してきた保守層との和解がある。今後は自身が実質的なオーナーのタイ貢献党が主導する政権の長期化を狙う。
 タクシン氏は、自身の政党が農村の住民や都市の貧困層からの支持を得て2001年と05年の総選挙で勝利し、首相を務めた。しかし、利益誘導型の政策や強権的な政治手法が批判を招き、反タクシン派との対立が深刻化して06年のクーデターに発展した。
 タクシン派は選挙に強く、11年にはタクシン氏の妹インラック氏が率いる政権が発足した。ただ王室や軍を支持する保守層が中心の反タクシン派との対立は続き、14年にも再びクーデターが起きた。
 こうした対立の構図は、昨年5月の総選挙で変化する。王室や軍改革を公約に掲げた前進党が第1党となり、貢献党は第2党となった。選挙直前には、海外逃亡中のタクシン氏が帰国して早期に自由の身となる見返りに、保守層が支持する親軍政党と手を組み連立政権を発足させるという「密約説」が流れた。
 密約説通り、昨年9月に貢献党のセター氏が首相の連立政権が発足し、タクシン氏は恩赦を経て今回仮釈放された。外交筋は「タクシン氏は保守層側の人間になった」と指摘している。 

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