海外勢、東証の取り組み好感=上場企業、「株主還元強化を」―米投資家 2024年02月17日 07時51分

取材に応じる米投資家のデービッド・スノーディ氏=12日、米ニューヨーク
取材に応じる米投資家のデービッド・スノーディ氏=12日、米ニューヨーク

 【ニューヨーク時事】東京株式市場で日経平均株価がバブル経済期に付けた史上最高値に迫っている。海外からの資金流入が一因だ。日本株の運用に30年以上携わってきた米投資家のデービッド・スノーディ氏は「東京証券取引所が上場企業に経営改革を促したことが(海外投資家から)好感されている」と分析。その上で、企業に配当など株主還元を強化する重要性を訴えた。
 東証は昨年3月、上場企業に株価と資本効率を意識した経営に取り組むよう異例の要請を行った。スノーディ氏はこれを「歴史的な動き」と評価。米著名投資家ウォーレン・バフェット氏による商社株買いや円安といった材料以上に、海外勢の日本市場に対するポジティブな見方に影響したとみる。
 一方、海外投資家の資金が今後、日本を離れる可能性に関し「リスクはある」と警鐘も。その理由として、2012年末に発足した第2次安倍政権の経済政策「アベノミクス」が始まった際に海外から集まった投資マネーが、3年ほどで流出してしまったことを挙げた。
 同様のリスクに備えるため、上場企業が日本国内の個人投資家も株主として呼び込む必要性を強調。個人投資家は配当や優待がある銘柄を選ぶ傾向が強いとして、「消費者が欲しがる『商品』を棚にそろえて出した方がいい」と提言した。
 また、株主還元により長期保有株主が増えれば、「株価の乱高下を抑える効果があり、それによってさらに魅力的な投資先になる」と力説した。 

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