日米韓連携にくさび打つ思惑=与正氏談話で揺さぶり―北朝鮮 2024年02月16日 17時41分

北朝鮮の金与正朝鮮労働党副部長=2019年3月、ハノイ(AFP時事)
北朝鮮の金与正朝鮮労働党副部長=2019年3月、ハノイ(AFP時事)

 【ソウル時事】北朝鮮は金与正朝鮮労働党副部長の対日関係に関する談話で、日本に揺さぶりを掛けているとみられる。北朝鮮が南北平和統一を放棄し韓国を「主敵」と位置付ける中、韓国は日米との安保協力を強化。北朝鮮はこうした状況に危機感を持ち、日米韓の連携にくさびを打つ思惑がありそうだ。
 「(日朝)両国は、いくらでも新しい未来を共に開いていける」。金正恩総書記の妹、与正氏は15日夜、朝鮮中央通信を通じて談話を発表。「拉致問題を障害物としなければ、両国が近づけないはずがなく、(岸田文雄)首相が平壌を訪問する日が来ることもあり得る」と述べた。
 韓国との対立が深まり、米国については11月の大統領選を注視するしかない状況下、北朝鮮としては岸田首相が正恩氏との首脳会談に意欲を見せる日本との対話の窓だけでも開いておきたいのが本音。韓国の梁茂進・北韓大学院大総長は「韓国とは敵対関係を深めつつも、日本とは協力関係に転換できる」という計算があると分析する。
 韓国が14日、北朝鮮との関係が深い社会主義国キューバと外交関係樹立を発表したことの衝撃も大きかったようだ。対日関係修復でこれに対抗し、外交的孤立を回避するのが狙いとの見方もある。
 一方、韓国側には日朝関係が動けば日米韓の連携が乱れかねないとの懸念がある。韓国外務省は16日、「日朝接触は、北朝鮮の非核化につながる方向でなされなければならない」とくぎを刺した。 

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