プラボウォ氏「圧勝」の理由は?=インドネシア大統領選、識者ら分析 2024年02月15日 21時12分

インドネシアのプラボウォ国防相(AFP時事)
インドネシアのプラボウォ国防相(AFP時事)

 【ジャカルタ時事】インドネシアで14日に行われた大統領選は、民間調査機関などによる開票速報の結果、プラボウォ国防相(72)=グリンドラ党党首=が6割近くの票を獲得し、当選が確実視されている。暫定2位となっているアニス前ジャカルタ特別州知事(54)=無所属=は20%台中盤、同3位のガンジャル前中ジャワ州知事(55)=闘争民主党=は10%台後半で、大きく水をあけられた格好だ。プラボウォ氏「圧勝」の理由はどこにあるのか。識者に聞いた。
 ◇「ジョコ効果」絶大
 ジャワ島東部マラン市にあるブラウィジャヤ大のラフマット・クリヤントノ教授(政治学)は「最後まで正式表明はしなかったものの、(今でも高い人気を誇る)ジョコ大統領の『支持』がものすごく大きかった」と指摘する。
 ジョコ氏は、プラボウォ氏の副大統領候補に長男のギブラン中ジャワ州ソロ(スラカルタ)市長(36)を送り込んだとみられている。ラフマット氏は「それだけでなく、ジョコ氏は選挙期間中に自らガンジャル氏の地元の中ジャワ州を訪れ、食料支援などを行い(プラボウォ氏の)支持率アップに努めていた。かなり前から選挙対策を立てていたように思う」と話す。
 ◇ギブラン氏で若者獲得
 「大学側の問題提起が全く国民に響かなかった」。そう嘆くのは、スラウェシ島南東部にあるハル・オレオ大のエカ・スアイブ教授(政治学)だ。同教授らは、ギブラン氏が副大統領候補として出馬できる年齢(40歳以上)に達していなかったにもかかわらず、憲法裁判所が事実上容認したことなどを批判。他の有力大学も同様の声明を出していた。
 エカ氏は「低所得者層にわれわれの声が届くことがなかっただけでなく、ギブラン氏の存在が多くの若者を引き付ける結果をもたらした」と肩を落とした。ラフマット氏も「こうした問題に対する地方の人々の反応があまりにも弱かった」と落胆の声を上げた。
 「倫理的に問題があることは明らかで、プラボウォ氏らは今後、信用回復に努める必要がある」。2人は語気を強めていた。 

海外経済ニュース