二つの「侵攻」対応議論=安保会議、16日開幕―独ミュンヘン 2024年02月15日 18時52分

 【ベルリン時事】ドイツ南部ミュンヘンで16日から3日間の日程で、世界各国の外交・防衛トップが一堂に会し世界情勢を討議する年に1度の「ミュンヘン安全保障会議」が開かれる。ロシアの侵攻を受けるウクライナへの支援継続と、イスラエルが南部ラファへの本格侵攻の構えを見せるパレスチナ自治区ガザ情勢が、主な議題になる。
 米国からはハリス副大統領とブリンケン国務長官が参加し、中国の王毅共産党政治局員兼外相も登壇。イスラエルのヘルツォグ大統領とパレスチナ自治政府のシュタイエ首相も議論に加わる。
 発生から2年を迎えるウクライナ侵攻では、西側諸国の援助なしにウクライナがロシアに対抗するのは難しい情勢だ。15日に開かれた北大西洋条約機構(NATO)国防相会合でも支援の継続性が焦点となり、ストルテンベルグ事務総長は記者団に「支援が日々、戦場に良い効果を生んでいる」と強調した。安保会議にはウクライナのゼレンスキー大統領が対面で参加し、改めて長期的な支援を訴える見通し。
 イスラム組織ハマスの壊滅を掲げラファ侵攻を準備するイスラエルに対しては、各国から戦闘休止や市民保護の要求が相次ぐことは必至だ。会議には、休止を巡る交渉に関わる中東諸国の高官らが集まる予定で、水面下の調整も活発化しそうだ。
 一方、欧州では、トランプ前米大統領が11月の大統領選で返り咲いた場合への備えが、暗黙の課題となっている。トランプ氏は最近もNATOを軽視する発言を行ったばかりで、西側の集団安保体制の要である米国への信頼の低下が、会議全体に影を落としている。 

海外経済ニュース