近くラファ本格侵攻か=イスラエル首相、住民退避計画の作成指示―「ハマス大隊壊滅」目指す 2024年02月10日 19時25分

10日、パレスチナ自治区ガザ南部ラファで、イスラエル軍の空爆後にがれきの下を捜索する住民たち(EPA時事)
10日、パレスチナ自治区ガザ南部ラファで、イスラエル軍の空爆後にがれきの下を捜索する住民たち(EPA時事)

 【カイロ時事】イスラム組織ハマスとの戦闘を続けるイスラエルのネタニヤフ首相は9日、パレスチナ自治区ガザ最南端の都市ラファでの戦闘に関し、「住民退避」と「ハマス大隊の壊滅」を両立させる計画を提出するよう軍に命じた。ネタニヤフ氏は、3月10日ごろから始まるイスラム教のラマダン(断食月)までに作戦を完了させる意向だと報じられている。ラファへの本格侵攻が近く開始される可能性がある。
 ガザ北部から南進するイスラエルは、対エジプト境界のラファを「ハマス最後のとりで」と見ている。一方、ラファにはガザ地区の全人口230万人の半数が逃れ、既に激しい空爆にさらされながら過密状態での避難生活を強いられている。地上部隊投入を含む本格侵攻が始まれば、民間人被害がさらに拡大するのは必至。AFP通信によれば、ハマスはラファでの作戦によって「数万人が犠牲になる恐れがある」と訴えた。
 イスラエル首相府は声明を出し、「ラファにいるハマスの4大隊を残したままでは、ハマスせん滅という戦争目的を達成できない」と主張しつつ、「ラファでの激しい活動は、戦闘地域からの民間人退避が明らかに求められる」と説明した。ラファ侵攻を巡っては、イスラエルのガザ攻撃を容認してきたバイデン米政権が、民間人保護を怠れば「大惨事を招く」とけん制しており、ネタニヤフ氏は米国への配慮を示したとみられる。 

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