中台の観光客往来、暗礁に=民間機航路・団体旅行巡り応酬 2024年02月10日 14時43分

春節(旧正月)を控え人々でにぎわう台北の通り=7日(EPA時事)
春節(旧正月)を控え人々でにぎわう台北の通り=7日(EPA時事)

 【台北時事】中華圏で春節(旧正月)の大型連休が10日、始まったが、中台間の観光客の往来は依然として改善の見通しがついていない。台湾当局は今月に入り、中国行きの団体旅行を3月から解禁する方針を撤回。先に中国が台湾海峡上空の民間機航空路の運用を一方的に変更したことに対抗したもので、中国当局は批判している。
 台湾交通部(交通省)は7日、「情勢の変化や旅行の安全を考慮し、当初の計画は実施しない」と発表。中国行き団体旅行の販売を停止するよう旅行業界に通知した。交通部長(交通相)が昨年11月に表明した今年3月からの解禁方針を受け、各業者は既に関連ツアーの販売を開始していたため、3月1日〜5月31日の販売済み分だけは認めるとした。
 解禁撤回の具体的理由について同部は、中国が台湾行き団体旅行を再開していないことや、中国が先月、台湾海峡の中間線付近を飛ぶ民間機航空路の運用を一方的に変更したためだと説明。航路の運用変更を巡っては、中国機がこれまでより台湾寄りを飛行するようになることから、台湾側が強く反発していた。
 次期総統の頼清徳副総統は与党・民進党の会合で、「観光は相互交流だ。残念ながら台湾の善意に対し中国から同様の善意は示されなかった」と強調した。これに対し、中国政府で台湾政策を担う国務院台湾事務弁公室は7日の記者会見で、「観光を政治操作に利用し、両岸(中台)同胞の交流を妨げている」と非難した。
 大型連休直前の突然の解禁撤回発表で対応に窮する台湾の旅行業界には、動揺が広がっている。台湾メディアは「政府は約束を守らなかった。あまりにもひどい」などと反発する業界の声を伝えた。 

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台湾の頼清徳副総統=1月13日、台北(AFP時事)
台湾の頼清徳副総統=1月13日、台北(AFP時事)

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