「偉大な芸術遺産」「音楽史に残る」=ウィーン・フィルなどが追悼―小澤氏死去 2024年02月09日 22時22分

 【ベルリン、パリ時事】ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団は9日、小澤征爾氏の死去を受けて追悼の声明を発表した。50年以上に及ぶ共演の歩みを振り返り、「楽団に偉大な芸術的遺産を残した」とたたえた。
 楽団は小澤氏と1966年のザルツブルク音楽祭から交流が始まり、2002年のニューイヤー・コンサートは「特別なハイライト」だったと回顧。10年には同氏に名誉団員の称号を贈呈した。
 ダニエル・フロシャウアー楽団長は「最高レベルの音楽と文化に対する謙虚さを兼ね備えた芸術家と長い旅ができたことは(楽団にとって)贈り物だ。仲間と愛情あふれる交流を結び、そのカリスマ性は聴衆にも伝わった」と賛辞を述べ、別れを惜しんだ。
 小澤氏が02〜10年に音楽監督を務めたウィーン国立歌劇場は、後進の育成や現代的な音楽の発展に尽力した功績をしのび、「オーケストラや音楽祭の創設者としても音楽史に残るだろう」と評価した。
 03年に子ども向けのオペライベントを立ち上げた小澤氏は「音楽の美しさを知ってもらうためにはできる限りのことをしなければならない。公演に来た子どもの1%でも感激させることができれば大きな成果だ」と語っていたという。
 ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団もX(旧ツイッター)で「かけがえのない友人で、名誉団員でもある小澤征爾に心からの哀悼の意を表します」と日本語で投稿した。
 一方、「三大テノール」の一人で、スペイン出身のオペラ歌手プラシド・ドミンゴ氏はXで「偉大なるマエストロ(巨匠)よ、安らかにお眠りください」と哀悼。旧ソ連時代のラトビア出身で、昨年来日公演を行った世界的指揮者アンドリス・ネルソンス氏も「(小澤氏は)模範的な音楽家であり、指導者だった。生涯を通じて刺激を受けてきた。彼がいなくなるのはとても寂しい」と投稿した。 

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