イスラエル、ガザ最南端への攻撃強化=ネタニヤフ首相が休戦案拒否、地上侵攻準備 2024年02月09日 20時30分

 【カイロ時事】イスラエル軍は9日、パレスチナ自治区ガザ最南端の都市ラファに対し攻撃を行った。100万人以上が避難する対エジプト境界に位置するラファでは、前日も激しい空爆が加えられたと報じられた。イスラエルのネタニヤフ首相は7日、軍に地上侵攻の準備を命令したと表明。イスラム組織ハマスとの戦闘休止交渉が停滞する中、ラファへの攻撃が強化されれば、人道危機の深刻化は避けられない。
 AFP通信が伝えた記者の目撃情報によると、軍はラファで7日深夜から8日未明にかけ、少なくとも7回の空爆を行った。自宅が被害を受けたハッサンさん(48)は「空爆はラファに安全な場所がないことを示している。彼ら(イスラエル)が破壊した住居を見てくれ」と憤った。攻撃は9日も行われた。
 8日まで中東を歴訪したブリンケン米国務長官は、イスラエルにラファ進軍を思いとどまるよう働き掛けはしなかった。ただ、「軍事作戦は民間人のことを第一に考えた上で行う必要がある」と注文を付けた。
 戦闘休止に向けた交渉に関し、ハマスに近いパレスチナ当局者はAFPの取材に「非常に複雑かつ困難なものになるだろう」と予想。一方で「ハマスは議論にオープンな姿勢で、戦闘終結を切に望んでいる」と語った。
 しかし、イスラエル側には交渉妥結に向かう様子が見られない。ネタニヤフ氏は7日、ハマスが提示した計135日間の戦闘休止案について「突拍子もない要求だ」と拒否する考えを表明。イスラエルは、ハマスと協議を行っているエジプトへの代表団派遣を拒否したと伝えられ、今後、ラファへの本格的な地上侵攻に移行するとの観測が強まっている。
 米国務省のパテル副報道官は8日、現時点でイスラエルがラファ地上侵攻を本格的に検討している証拠はないと説明。その上で「十分な計画なしに今、作戦を実行すれば大惨事になる」と懸念を表明した。 

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