4.ドル平均法とマーケット・タイミング

 長期積立型投資のベースとなる「ドル平均法」は有効な投資手法です。しかし、購入単価を引き下げる利点があるとはいえ、単純に長期間投資を続けていれば誰でもハッピーな結果になるとは言い切れません。

 成果に大きく影響を与えるのは、第1番目にはドル平均法による長期積立投資を行った場合の終了時の売却価格(図表1)で、第2番目は積立投資期間におけるマーケットの動きがもたらす平均購入単価(図表2)です。 

 例えば、下記の図表1のように高値からスタートしても底値の期間が長く、結果的に平均購入単価の引き下げ効果が大きかった場合には利益を得ることができました。一方で、図表2のように安値からスタートして株価も上昇したのに、積立投資終了に近づいてから価格が下落し平均購入単価に近づき利益を得ることができなかったケースも存在します。投資期間の株価形成の形(動き・波動)が大きく影響しました。


【図表1】 高値からスタートしても底値の期間が長く、ドル平均法の効果を享受できたパターン


【図表2】 安値からスタートしても価格低下で平均価格へ接近し損失を計上したパターン

 この先の長期の株価がどのようになるかは誰もが正確な予想はできませんが、上記の様に、投資期間における株価の波動形成パターンによっては十分な成果を得られないこともあります。マーケットを知り、その動きに対応することを考えておきたいものです。

 そのためには、まず定期的に平均購入単価、数量、直近の価格、評価損益を把握すること。そして、底値圏と考えるときには、買い増しをして更に購入平均単価を下げることを考え、高値圏とみた場合には一部利食いの検討です。なお、長期積立型商品の中には、途中での解約ができないものもありますが、長期積立で解約できないからお金が蓄積されるというメリットは十分にあります。それでも、自己ポートフォリオの管理と購入平均単価を引き下げに留意することは必要で、追加投資・一部利食いは別枠管理で行うのも一法かと考えます。

 運用はリスク管理、どのような運用であっても「マーケットの動きをみる目」を身につけることが求められます。 



〔タイトル〕 〔前章 3.テクニカル・アプローチ〕