【2024年3月18日~19日】金融政策決定会合における主な意見(要約) 2024年03月28日 11時22分

金融政策決定会合における主な意見(2024年3月28日)

1.金融経済情勢に関する意見

(1)経済情勢

  • わが国経済は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復しており、先行きも、所得から支出への前向きの循環メカニズムが維持されるもとで、緩やかな回復を続けるとみられる。
  • 国内経済は、個人消費や生産に弱めの動きがみられるものの、一時的要因の影響が大きいほか、企業業績は高水準を維持し、大企業中心に賃上げ動向は力強いことから、全体として底堅く推移していると考えられる。
  • 実質金利が大幅なマイナスを続けているにもかかわらず、景気の回復ペースが緩やかな理由としては、自然利子率の低さや金融政策の効果の波及ラグなども考えられる。
  • 個人向けサービス業のヒアリング情報や決算情報を踏まえると、コロナ禍の影響が長く続いてきたもと、消費行動の変化がみられており、こうした変化は不可逆となっているとみられる。
  • 予想を上回る本年の春季労使交渉での賃上げ動向のほか、最近の史上最高値を超える株価上昇も加わり、先行きに対する期待が高まっており、日本経済は歴史的な変曲点を迎えている可能性がある。

(2)物価

  • 最近のデータやヒアリング情報から、賃金と物価の好循環の強まりが確認されてきており、先行き、展望レポートの見通し期間終盤にかけて、2%の「物価安定の目標」が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断できる。
  • 連合の集計値は予想を上回ったほか、本支店のヒアリング情報によれば、幅広い企業で賃上げが行われる見通しにある。高水準の企業収益のもとで、高めの賃上げと緩やかなサービス価格の上昇が両立すると考えられる。物価は、2%程度で推移しながら、賃金に支えられる望ましい形に次第に移行していくことが展望できる。
  • 今年の春季労使交渉における現時点の結果を踏まえると、賃金上昇に伴う物価上昇などにより、「物価安定の目標」の実現の見通しがある程度立ったと考えられ、目標の達成に向けて大きく前進している。
  • 今後、一時的な要因等によって、物価上昇率が2.0%を下回る局面もあり得るが、物価の背後にあるメカニズムは「物価安定の目標」と整合的な状況が続く可能性が高い。
  • 春季労使交渉の妥結状況は強いものの、賃金と物価の好循環の強まりを確認するためには、サービス価格の上昇や中小企業の価格転嫁の進展を慎重に見極める必要がある。
  • サービス価格上昇の主因は、食材価格の上昇を背景とした外食の上昇などであり、賃上げによる人件費上昇の価格転嫁の影響はまだ中心的とはいえない。
  • 貯蓄率正常化の過程で消費抑制の影響が強く出る可能性があり、物価上昇に負けない賃金上昇が必要であるため、まだ物価から賃金への好循環が全国レベルで強まっているとは思われない。

2.金融政策運営に関する意見

  • 最近のデータ等から、先行き、展望レポートの見通し期間終盤にかけて、「物価安定の目標」が実現していくことが見通せる状況に至ったと判断できる。こうしたもと、イールドカーブ・コントロールの枠組みやマイナス金利政策などの大規模な金融緩和は、その役割を果たしたと考えられる。
  • 引き続き2%の「物価安定の目標」のもとで、その持続的・安定的な実現という観点から、短期金利の操作を主たる政策手段として、経済・物価・金融情勢に応じて金融政策を運営していくべきである。
  • 非伝統的手段の総動員から、短期金利操作を主たる手段とする枠組みに移行すること、すなわち、異次元の金融緩和からいわば普通の金融緩和に移行することは、短期的なショックを起こさずに十分可能であり、中長期的にはプラスの効果も期待できる。
  • 今回の金融政策の枠組みの見直しが、金融引き締めへのレジーム転換ではなく、あくまで「物価安定の目標」の実現に向けた取り組みの一環である点を、各種コミュニケーションによって明確に伝えていくことが重要である。
  • 柔軟化されたイールドカーブ・コントロールの運営のもとで長期金利は安定して推移していること、これまでの情報発信によって、「仮にマイナス金利政策を解除しても当面緩和的な金融環境が維持される」という理解が市場に浸透していることなどから、今回の措置によって金融市場で大きな変動が起こる可能性は低い。
  • 経済・物価情勢に応じて、時間をかけてゆっくりと、しかし着実に金融正常化を進め、異例の大規模金融緩和を上手に手仕舞いしていくためには、これからの金融政策の手綱さばきがきわめて重要である。そのためにも、今回、金融正常化のスタートラインに立つことが適当である。
  • 長期国債やCP・社債等の買入れについては、大幅・急激な市場変動を避ける観点から、時間をかけて対応することが適当である。その間、債券市場の参加者拡大を期待する。
  • 国債買入れは、現在と概ね同程度の金額で継続するが、その際、実際の買入れは、これまで同様、調節の現場において、市場の状況に応じて柔軟に決めていく必要があり、上下に多少のアローワンス(例えば1~2兆円程度)をもって対応していくことが適当である。
  • 国債の買入れは、能動的な金融政策手段としては用いず、長期金利の急変動を避けるという観点から行われることになる。その中で、市場の流動性を回復しつつ、できるだけ市場に金利形成を委ねていくことが大切である。
  • 本年の賃上げが象徴的な変化として確認されたことから、これまでの市場機能に副作用を及ぼしてきた政策対応を見直し、市場が自律的に機能する局面への転換が必要である。将来の金融正常化を見据えて、ある程度は市場の価格形成に任せた政策運営に切り替えるタイミングだと考えられる。
  • わが国では、米欧のような賃金インフレに陥るリスクは低く、大企業の改革成果が中小企業に波及し、中小企業の賃上げ分の価格転嫁が進む産業構造への変化等を確認する時間的余裕がある。「物価安定の目標」の実現を確実にするため、大企業に関係するETF買入れや貸出増加支援資金供給等以外の緩和策は、中小企業に準備を促し、賃上げ余力が高まる蓋然性を確認してからの見直しが適当である。マイナス金利を解除する場合でも、急速な利上げが必要な状況ではないため、慎重な姿勢を強調することが必要である。
  • 国債買入れの継続による長期金利の抑制が未だに必要であり、イールドカーブ・コントロールとマイナス金利政策の解除を同時に行うことは、長期金利を含む金融環境に非連続的な変化をもたらすリスクがある。
  • 今回の政策変更により、経済実態を反映しない形で先々の政策変更期待が高まり、金融環境が急変した場合、好循環のモメンタムに水を差し、物価目標の達成を遅らせるリスクがある。
  • 今回の政策枠組みの見直しも踏まえつつ、過去四半世紀の金融政策の在り方を幅広く振り返ることが必要であり、現在行われている多角的レビューを将来の政策に活かしていくことも重要である。

3.政府の意見

(1)財務省

  • 提案は、引き続き、日本銀行が2%の物価安定目標の持続的・安定的な達成を目指すためのものと受け止めている。
  • 賃上げ率、設備投資等の前向きな動きの一方、個人消費は力強さを欠いており、海外経済のリスクも認識している。
  • 日本銀行は、引き続き緩和的な金融環境を維持すると示されているところ、引き続き、政府との緊密な連携のもと、2%の物価安定目標の持続的・安定的な実現に向けて、適切に金融政策運営が行われることを期待する。

(2)内閣府

  • 提案のあった事項は、賃金と物価の好循環の実現という前向きな動きを踏まえたものであり、その認識は政府も共有できる。
  • 経済の回復をより強固にし、民需主導の持続的成長を実現するため、日銀には、引き続き、金融面から経済をしっかり支えていただく必要がある。
  • 日銀には、政府と緊密に連携し、十分な意思疎通を図りながら、2%の物価安定目標の持続的・安定的実現に向け、適切な金融政策運営を行うことを期待する。

以上


[ゴールデン・チャート社]

■関連リンク

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主要各国の金融政策スケジュール

■参考資料(外部サイト)

金融政策決定会合における主な意見(2024年3月18日、19日開催分)(日本銀行)

金融政策決定会合の運営(日本銀行)