【2025年7月30日~31日】総裁定例記者会見(一部抜粋・要約) 2025年08月01日 17時18分
総裁記者会見一部抜粋・要約(2025年8月1日)
1.今回の金融政策決定会合の内容について
- 無担保コールレート・オーバーナイト物を0.5%程度で推移するよう促す、という金融市場調節方針を維持することを全員一致で決定した
2.次の利上げに向けて重視して確認したい点はどういった点か
- 先日の日米間の関税交渉の合意は、わが国経済を巡る不確実性の低下につながると考えているが、それでも、いったん成長ペースが今後鈍化し、基調的な物価上昇率が伸び悩むという我々の中心的な見通しに大きな変化はない
- これまでより低下したとはいえ、各国の通商政策等の影響に関する不確実性はなお高い状況が続いており、こうした中、これまで同様、経済・物価情勢が改善し、基調的な物価上昇率が高まっていくという見通しの確度やリスクを確認しながら、先行きの利上げの是非やタイミングを、毎回の決定会合において適切に判断していく方針
- その際、通商政策等の影響が各国の経済や国際金融資本市場にどのように表れてくるか、また、そのもとでわが国企業の賃金・価格設定行動における積極的な動きが途切れることがないかどうかといった点をはじめ、内外の経済・物価・金融情勢を幅広く丁寧に確認していきたいと考えている
3.前回と比べて基調的な物価は高まっていると考えているか
- これの評価に当たっては、各種の物価指標や人々の物価観を示す中長期的な予想物価上昇率、更には物価変動の背後にあるマクロ的な需給ギャップや労働需給、賃金上昇率など、経済・物価に関する様々な情報をみたうえで総合的に判断していく必要がある
- より具体的に言えば、一時的な変動の影響を受けにくい物価指標、例えば加重中央値やサービス価格のトレンドあるいは家計や企業、エコノミスト等の予想物価上昇率に関する指標等をみると、なお2%を下回っている。しかし、緩やかな上昇傾向を辿っている。また、労働需給は引き締まった状態が続いており、こうしたもとで、賃金上昇を販売価格に転嫁する動きも継続している。こうした点を踏まえて、基調的な物価上昇率は引き続き2%に向けて緩やかに上昇しているというふうに判断している。
- 先行きについては、経済の成長ペース鈍化などの影響を受けて、基調的な物価上昇率はいったん伸び悩むことが見込まれる。しかし、賃金と物価が相互に参照しながら緩やかに上昇していくというメカニズムは維持され、その後は、成長率が高まるもとで、人手不足感が強まり、中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、基調的な物価上昇率は、2%に向けて徐々に高まり、見通し期間後半には物価安定目標と概ね整合的な水準で推移すると考えている。
4.アメリカの関税政策の日本経済への影響について
- 今後出てくるデータを、予断を持たずに丁寧にみていきたいという答えになる
- もう少し詳しく言えば、これまでのところ特に駆け込みとその反動の動きが何回にもわたって続くということが起こって、非常にデータがみにくくなっている。ようやく、少なくとも関税率のある程度の部分が落ち着きどころがみえてきたという点もあるので、今後ははっきりした影響が少しずつ出てくるという局面に入るかと思う。
- それがどれくらいの期間、どの指標をみないと分からないのかという点については、現時点ではなかなか確定的なことを申し上げにくい。早めに大きな影響が出て、それでなかなか大変だというふうに判断がつく場合もあるでしょうし、なかなか影響は出ない、しかし本当に出ないかどうか時間をかけてみるっていう場合もあるでしょうし、そこは予断を持たずに丁寧にみていきたいと思っている。
5.2025年度の物価が上方修正された状況等を踏まえると、利上げの環境は整いつつあるのか
- 25年度分はかなり大きく上方修正になっているが、これはほとんど、米を含む食料品価格のここまでの上昇を反映したもので、これが若干の時間がかかるかもしれないが、今後インフレ率としては低下に向かうというふうに予想しているので、このインフレ率の上方修正だけをもって、金融政策がどっち側に左右されるというような種類のものではないというふうに考えている
[ゴールデン・チャート社]
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■参考資料(外部サイト)
総裁記者会見要旨(2025年7月30日、31日開催分)(日本銀行)