次回も異例の大幅利上げの可能性も=パウエル議長記者会見スピーチ 2022年07月28日 09時43分

 FRBパウエル議長は7月27日、FOMC直後の記者会見冒頭のスピーチで、0.75%の利上げの背景と今後の金融政策の方向性を語りました。次回のFOMCでも「経済見通しの進展に依存するが、異例の大幅利上げの可能性がある」としながらも、「金融政策のスタンスがさらに引き締まるにつれて、政策調整の累積がどの程度になるかを見極めながら、引き上げペースを緩めることが適切になる可能性が高い」と微妙なニュアンスの発言をしています。

パウエル議長FOMC記者会見冒頭スピーチ(要旨)

[日本語訳 ゴールデンチャート社] 2022年7月28日

  • 今年上半期、経済と米国は多くのことを経験し、回復力を証明した。インフレ率を目標の2%まで低下させることは、持続的な経済活動を行う上で不可欠である。
  • 労働市場は極めてタイトであり、インフレは高すぎる。このような背景から、本日、FOMCは政策金利を0.75ポイント引き上げた。フェデラルファンド金利の目標レンジは継続的に引き上げることが適切であると考える。また、FRBはバランスシートの大幅な縮小を進めている。
  • 最近の消費と生産に関する指標は軟化している。個人消費の伸びは、実質可処分所得の減少や金融引き締めを反映して、大幅に鈍化している。住宅部門の活動は一部で住宅ローン金利の上昇を反映し、弱くなっている。また、第1四半期に大幅な伸びを示した企業の設備投資も、第2四半期には減少に転じたようだ。
  • こうした状況にもかかわらず、労働市場は極めてタイトな状態が続いており、失業率は50年ぶりの低水準にあり、歴史的な高水準にある求人倍率、そして高い賃金上昇率を維持している。過去3カ月間、雇用は月平均37万5000人増加した。全体として、労働市場の継続的な強さは、基本的な総需要が堅調であることを示唆している。
  • インフレ率は、長期的な目標である2%を大幅に上回っている。6月の消費者物価指数は予想を上回る99.1%で、コアCPIの変動率は5.9%だった。最近の経済活動全般の減速にもかかわらず、総需要は引き続き堅調に推移している。それにもかかわらず、総需要は引き続き堅調に推移しており、供給制約は予想以上に大きく、かつ長期に渡って続いている。また、幅広い商品とサービスにおいて価格への上昇圧力は顕著となっている。最近、一部の商品価格は下落したが、ロシアのウクライナ戦争に起因する原油やその他の商品価格の高騰は、ガソリンや食料品の価格を押し上げ、インフレにさらなる上昇圧力をかけている。
  • フェデラルファンド金利の目標レンジを継続的に引き上げることが適切であると考える。そのペースは、今後入手するデータと経済見通しの進展に依存する。次回の会合でも異例の大幅な引き上げが適切となる可能性があるが、その判断は次の会合までに得られるデータに左右される。金融政策のスタンスがさらに引き締まるにつれて、政策調整の累積がどの程度になるかを見極めながら、引き上げペースを緩めることが適切になる可能性が高い。
  • インフレ率を2%の長期目標に戻すために必要な措置をとることを決意している。このプロセスは、経済成長率がトレンドを下回り、労働市場の状況がいくぶん軟化する期間を伴うとみられるが、そうした結果は、物価の安定を回復し、長期的に最大限の雇用と安定した物価を達成するための舞台を整えるために必要であると考えている。

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■関連情報(外部サイト)

FOMC記者会見議事録(FRB原文、PDF)