5月の会合で資産縮小開始へ、0.5%利上げの可能性も=FOMC議事録 2022年04月07日 11時11分

[ゴールデンチャート社]2022年4月7日

 4月6日、米連邦準備理事会(FRB)は、3月15日、16日の連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録を公開しました。今回の会合でFOMCは、バランスシートの縮小を月間上限950億ドルのペースで実施する方針を確認、5月の会合での決定を見込んでいます。またフェデラルファンド金利の利上げを0.5%とする案が示されたものの、ロシアのウクライナ侵攻の不確実性の高まりを考慮して0.25%の利上げに留まった経緯も公表されました。次回以降の会合でインフレ圧力がさらに高まった場合、0.5%の利上げの可能性も示唆されました。ウクライナ侵攻は、インフレ圧力に拍車がかかり、米国経済活動の重荷となりうるとの判断も示されました。

FOMC議事録要旨

バランスシートの規模縮小計画

  • インフレ率上昇と労働市場がタイトであることから、2017年から19年に実施された縮小計画よりも速いペースで保有証券を減少させ、次回の会合でバランスシートの縮小を開始することにすべての参加者が同意した。
  • 資産縮小は、元本の再投資額を調整することで、連邦準備制度の保有証券を予測可能な方法で時間をかけて削減する。財務省証券の月間上限を600億ドル程度、政府系不動産担保証券 の月間上限を350 億ドル程度とすることが適切であろうとの見方で概ね合意した。
  • バランスシートの整理が十分に進んだ後、長期的に財務省証券を中心としたSOMA(システム・オープン・マーケット・アカウント)ポートフォリオへの移行を適切に進めるために、政府系不動産担保証券の売却を検討することが適切であるとの見解で概ね一致した。

経済見通しに関する見解

  • ここ数カ月、雇用の増加は著しく失業率は大幅に低下した。インフレ率は、継続的な需給の不均衡、エネルギー価格の上昇およびより広範な物価上昇圧力を反映して、高止まりのままであった。
  • ロシアのウクライナ侵攻が米国経済に及ぼす影響は極めて不確実であるが、短期的には侵攻とそれに関連する出来事がインフレに大きな追加的上昇圧力をもたらす可能性があり、経済活動の重荷になりうると判断した。
  •  実質GDPの成長率が2021年第4四半期の急速なペースから鈍化している。これは在庫投資の弱さを主因としているが、消費と企業投資は引き続き堅調に増加していると指摘。オミクロン株の感染拡大は経済データに穏やかで短い痕跡を残すに留まった。今年の実質GDP成長率は下方修正されたが、経済のファンダメンタルズは引き続き堅調であり、トレンドを上回る成長が続き、堅調な労働市場が維持されると判断した。
  • 最近のインフレ率は依然として当委員会の長期目標を大幅に上回っている。ロシアのウクライナ侵攻からの展開(関連するエネルギー価格の高騰を含む)が短期的なインフレ圧力に拍車をかけると指摘された。
  • インフレに関する不確実性が高まっており、インフレに対するリスクは上方に偏っている。ロシアの侵攻によって悪化した供給のボトルネックとエネルギーおよび商品価格の上昇、サプライチェーンをさらに混乱させる可能性がある最近の中国のCOVID関連のロックダウン、長期的なインフレ期待が固定されなくなる可能性などのリスクを挙げられる。
  • インフレリスクは上向きで、フェデラルファンド金利は参加者が予想する長期的な水準を大幅に下回っていることから、今回の会合ではフェデラルファンド金利の目標レンジを50bp引き上げたいとの見方が示された。しかし、ロシアのウクライナ侵攻に伴う短期的な不確実性の高まりを考慮し、今回の会合では25bpの引き上げが適切であると判断した。特にインフレ圧力が強まっている場合には、今後の会合で目標レンジを50bp引き上げが適切となりうると指摘した。

(H・N)

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■関連情報(外部サイト)

FOMC議事録(原文、FRB)