【2024年4月25日~26日】総裁定例記者会見(一部抜粋・要約) 2024年04月30日 17時17分
総裁記者会見一部抜粋・要約(2024年4月30日)
1.今回の決定内容について
- 無担保コールレート・オーバーナイト物を0~0.1%程度で推移するよう促す、という3月に決めた金融市場調節方針を維持することを、全員一致で決定
- 長期国債およびCP・社債等の買入れについては、これもやはり3月の決定会合において決定した方針に沿って実施する
2.国内の経済・物価動向の現状と先行きについて
- わが国の景気の現状は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復していると判断した。先行きについては、海外経済が緩やかに成長していくもとで、緩和的な金融環境などを背景に、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まることから、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。
- 物価は、生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響は減衰してきているが、賃金上昇等を受けたサービス価格の緩やかな上昇が続くもとで足元は2%台半ばとなっている。先行きは、2024年度に2%台後半となった後、2025年度および2026年度は概ね2%程度で推移すると予想している。
- 前回の展望レポートからの比較でみると、今年度の見通しが上振れているが、これは、このところの原油価格上昇の影響等によるもので、消費者物価の基調的な上昇率は、マクロ的な需給ギャップの改善に加え、賃金と物価の好循環が引き続き強まり中長期的な予想物価上昇率が上昇していくことから、徐々に高まっていくと予想される。見通し期間後半には、物価安定目標と概ね整合的な水準で推移すると考えている。
3.利上げ判断に影響を与える物価2%目標達成の確度の高まりについては、今後どのような材料などを重視して点検していく考えか
- これからの金融政策運営は、その時々の経済・物価・金融情勢次第という考え方が基本となる
- 短期金利の水準については、毎回の決定会合で経済・物価の見通しやリスクを丁寧に点検したうえで、2%の物価安定の目標の持続的・安定的な実現という観点から、適切に設定していく
- 先行き、基調的な物価上昇率が見通しに沿って2%に向けて上昇していけば、政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになると考えている
- 更に、経済・物価見通し、リスクが上振れする場合も、政策変更の理由となると考えている。この点は、基調的な物価上昇率は、何か単一の指標の動きに基づいて判断・評価するものではなくて、各種の物価指標あるいは物価変動の背後にあるマクロ的な経済の姿、需給ギャップや予想物価上昇率、賃金上昇率など、経済・物価に関する様々な情報を丁寧にみたうえで判断していくというふうに、これまでも、これからも考えていく。
4.現状の円安についての影響
- 金融政策の主な手段は短期金利になったということで、その水準をどういうふうに決定していくかということだが、その考え方については今しがた説明した通り
- 為替との関係でいうと、まず、金融政策は、為替レートを直接コントロールの対象とするものではない。しかし、いつも言っているように、為替レートの変動は、経済・物価に場合によっては影響を及ぼす重要な要因の一つになる。仮に、基調的な物価上昇率に、無視し得ない影響が発生するということであれば、金融政策上の考慮あるいは判断材料となるというふうに考える。
- 引き続き、為替市場の動向やその経済・物価への影響を、十分注視していきたいと思っている
5.どこかのタイミングで国債の買い入れを減額するとのことだが、それはどのような考え方で進めて、いつ頃を考えているのか
- 国債の買いオペについて、国会等でもあるいは前回の記者会見でも、将来どこかの時点で減額ということを視野に入れているということを申し上げた。その点は今でも同じ考えですし、残念ながら今、具体的にいつの時点でということを申し上げられる段階ではない。
- 表現を変えてみると、3月に金融政策の枠組みを変更して、それが金融市場等でどういうふうに消化されるかというところを今まだみている段階ということかなと思う。
- もしも将来減額をする場合に、それは一つの考え方としては、金融政策の能動的な手段としては使いたくないな、ということ。ただし、もちろん将来的に買いオペの金額が減っていけば、保有している国債も徐々に減っていく(残高)、ということにつながるので、日銀がたくさん国債を持っているということから発生している長期金利を下げるという方向でのストック効果がやや弱まるという効果は発生するということになるかと思う。そういうことも考慮に入れたうえで、短期金利の方の調整を適切にやっていくということになるかと思う。
[ゴールデン・チャート社]
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■参考資料(外部サイト)
総裁記者会見要旨(2024年4月25日、26日開催分)(日本銀行)