【2024年3月18日~19日】総裁定例記者会見(一部抜粋・要約) 2024年03月21日 17時37分

総裁記者会見一部抜粋・要約(2024年3月21日)

1.今回の決定内容について

  • 賃金と物価の好循環を確認し、先行き、展望レポートの見通し期間終盤にかけて、2%の物価安定の目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断した
  • これまでのイールドカーブ・コントロールおよびマイナス金利政策といった大規模な金融緩和は、その役割を果たしたと考えている
  • また、マネタリーベースの残高に関するオーバーシュート型コミットメントについても、その要件を充足したものと判断した
  • 金融市場調節方針について政策金利を無担保コールレート・オーバーナイト物としたうえで、それを0~0.1%程度で推移するよう促すことを決定した
  • また、この方針を実現するため、所要準備額相当部分を除く日本銀行当座預金0.1%の付利金利を適用することとした
  • 長期国債の買入れについては、これまでと概ね同程度の金額で継続することとした
  • 足元の長期国債の月間買入れ額は6兆円程度となっているが、実際の買入れは、従来同様、ある程度の幅を持って予定額を示すこととし、市場の動向や国債需給などを踏まえて実施していく
  • 長期国債以外の資産の買入れについては、ETFおよびJ-REITの新規の買入れを終了するほか、CP・社債等については買入れ額を段階的に減額し、1年後をめどに買入れを終了する
  • 貸出増加支援資金供給、被災地金融機関支援オペ、気候変動対応オペについては、今後は、貸付利率を0.1%、貸付期間を1年として実施する
  • 貸出増加支援資金供給については、貸出増加額と同額までの資金供給が受けられる仕組みとした

2. 国内の経済・物価動向の現状と先行きについて

  • 国内景気は、一部に弱めの動きもみられるが、緩やかに回復している
  • 企業収益は改善を続けており、労働需給は引き締まっている。こうしたもと、昨年に続きしっかりとした賃上げが実現する可能性は高い
  • 物価面では、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響は減衰してきているが、これまでの緩やかな賃金上昇も受けて、サービス価格の緩やかな上昇が続いている
  • このように、最近のデータやヒアリング情報からは、賃金と物価の好循環の強まりが確認されてきており、先行き、見通し期間終盤にかけて、物価安定の目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至ったと判断した

3.今回の政策変更による消費者や事業者、日本経済への影響について

  • 貸出金利あるいは預金金利は、今回の政策変更を受けて市場金利が多少変化するが、その動向を踏まえて各金融機関の判断において設定されることになると思う
  • もっとも、今回の政策変更に伴う短期金利の上昇は0.1%程度にとどまること、また、これまでと同程度の国債買入れを継続し、更に長期金利が急激に上昇する場合は機動的に買入れオペの増額等を実施する方針のため、今回の措置を受けて預金金利や貸出金利が大幅に上昇するとはみていない
  • 先行きについても、現時点の経済・物価見通しを前提にすると、当面、緩和的な金融環境が継続すると考えているので、こうした緩和的な金融環境が、経済・物価をしっかりと支える方向で作用するとみている

4.今後の利上げの進め方について

  • 今後の主たる政策手段は短期金利になるというふうに金融政策を運営していく
  • その短期金利の設定の仕方ですが、これは大まかな言い方をすると、普通の短期金利を政策手段にしている他の中央銀行と同じように設定していくということになるかと思う。したがって、物価・経済見通しに従って適切な政策金利水準を選んでいくということになると思う。
  • ただし、現状、2%の物価の持続的・安定的な実現が見通せる状況に至ったと判断したが、例えば予想物価上昇率をみてみると、まだ2%には多少距離があるということなので、先ほどの普通の金融政策を行ううえでも、緩和的な環境を維持するということが大事だという点は留意しつつ、普通の金融政策を行っていくということになる

5.今後の利上げのペースと長国の買入れについて

  • 短期金利が上がるとして、その場合のペースという点ですけれども、これは繰り返しになりますが、経済・物価見通し次第であるということになるかと思う。ただし、現在手元にある見通しを前提にすると、急激な上昇というような経路は避けられるとみている。
  • バランスシートの大きさに関連して、長国買入れの金額ですが、現状の金額をしばらく維持するが、将来はどうかという質問だと思うが、前々から言っているように、大規模緩和終了後はバランスシート縮小を視野に入れていくというつもりでいるので、将来のどこかの時点で、買入れ額を減らしていくということも考えたいと思うが、今、具体的にそれについて言える段階ではない


[ゴールデン・チャート社]

■関連リンク
FED&日銀ウォッチ
主要各国の金融政策スケジュール


■参考資料(外部サイト)
総裁記者会見要旨(2024年3月18日、19日開催分)(日本銀行)
金融政策決定会合の運営(日本銀行)