【2024年1月22日~23日】総裁定例記者会見(要約) 2024年01月24日 15時42分
総裁記者会見要約(2024年1月24日)
1.今回の決定内容について
- 長短金利操作、いわゆるイールドカーブ・コントロールのもとでの金融市場調節方針とその運用、また資産買入れ方針について、いずれも現状維持とすることを、全員一致で決定
- 「貸出増加を支援するための資金供給」の貸付実行期限を1年間延長することを全員一致で決定
2. 国内の経済・物価動向の現状と先行きについて
(1)景気
- 景気の現状は、緩やかに回復していると判断
- 先行きは、当面は海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ペントアップ需要の顕在化などに支えられて、緩やかな回復を続けるとみている
- その後は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まるもとで、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる
(2)物価
- 生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、政府の経済対策もあってエネルギー価格の寄与は大きめのマイナスとなっているが、既往の輸入物価上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰しつつも残るもとで、サービス価格の緩やかな上昇も受けて、足元は2%台前半となっている
- 先行きは、来年度にかけて2%を上回る水準で推移した後、2025年度はプラス幅が縮小すると予想している
- 前回の展望レポートからの比較でみると、来年度の見通しは下振れているが、これは、このところの原油価格下落の影響が主因
- この間、消費者物価の基調的な上昇率は、見通し期間終盤にかけて、2%の物価安定の目標に向けて徐々に高まっていくとみており、先行きの不確実性はなお高いものの、こうした見通しが実現する確度は、引き続き、少しずつ高まっていると考えている
3.2%の物価目標の達成に向けた確度はどの程度高まったのか
- 今回の展望レポートで、今後の景気に関する基本的な見方は維持した。そうしたもとで、先行き、賃金と物価の好循環が強まり、基調的な物価上昇率が2%に向けて徐々に高まっていく確度は、引き続き、少しずつ高まっていると判断した。
- 具体的には、春季労使交渉に向けて労働組合側からは昨年を上回る賃上げを要求する方針が示されていること、大企業を中心に、経営者から賃上げに前向きな発言がみられることが挙げられる
- また、賃金から販売価格への波及も、サービスを含む価格が緩やかな上昇傾向にあるということや、先日の支店長会議での報告などを踏まえると、賃金から販売価格への波及も少しずつ広がっていると考えた
4.マイナス金利の解除を実行する際の最大の留意点は
- 賃金と物価の好循環を更に確認し、物価安定の目標の持続的・安定的な実現が見通せる状況に至った際に、マイナス金利を含めた現在実施している様々な大規模金融緩和策、これの継続の是非を検討していくことになる
- その具体的な内容については、何度も言っているように、そのときの経済・物価・金融情勢次第であるというふうにしか現時点では言えない
- ただ、現時点での物価・経済・金融見通しを前提とすると、大きな不連続性が発生するような政策運営は避けられるというふうに思っている
5.今回の公表文に物価安定目標が実現する確度は、引き続き、少しずつ高まっているとの一文が加わった意図は
- ざっくりいえば、これまでの物価見通しに沿って経済が進行しているということが確認できたということ
- 今回の物価見通しについては、除く生鮮については、24年度について若干下方修正しているが、これは主に原油価格の下振れを反映したもので、その他のところについては、前回の見通しとほとんど変わっていない
- 特に、除く生鮮・エネルギーの方を例えばみると、来年度も再来年度も1.9%くらいとなっていて、2%に非常に近い値となっている
- その姿は前回とあまり変わらないが、まだ必ずしも自信が持てないというふうに言っていた中で、もう一回点検をしてみたら、同じような見通しが、中心的な見通しであるということになったという辺りが、一番見通しの確度が上昇したということの根拠
[ゴールデン・チャート社]
■関連リンク
■参考資料(外部サイト)
総裁記者会見要旨(2024年1月22日、23日開催分)(日本銀行)