【2023年9月21日~22日】総裁定例記者会見(要約) 2023年09月25日 16時41分

総裁記者会見要約(2023年9月25日)

1.今回の決定内容について

  • 長短金利操作、いわゆるイールドカーブ・コントロールのもとでの金融市場調整方針、それからその運用、更に資産買入れ方針について、いずれも現状維持とすることを全員一致で決定

2. 国内の経済・物価動向の現状と先行きについて

(1)景気

  • 景気の現状は、緩やかに回復していると判断
  • 先行きは、当面は海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ペントアップ需要の顕在化などに支えられて、緩やかな回復を続けるとみている
  • その後は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まるもとで、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる

(2)物価

  • 生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、政府の経済対策によるエネルギー価格の押し下げ効果などによって、ひと頃に比べればプラス幅を縮小しているが、既往の輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から、足元は3%程度となっている
  • 先行きは、そうした価格転嫁の影響が減衰していくもとで、プラス幅を縮小した後、マクロ的な需給ギャップが改善し、企業の賃金・価格設定行動などの変化を伴うかたちで中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まっていくもとで、再びプラス幅を緩やかに拡大していくとみている

3.総裁のインタビュー記事により、市場では早期の利上げ観測が強まっているが

  • そのインタビューでは、現状、物価安定目標の持続的・安定的な実現が見通せる状況に至っておらず、従って粘り強く金融緩和を継続する必要があるというふうに言った
  • そのうえで、先行き実現が見通せる状況に至れば、政策の修正を当然検討することになるが、現時点では、経済・物価を巡る不確実性はきわめて高く、政策修正の時期や具体的な対応について到底決め打ちはできないというふうに指摘した
  • 政策運営の基本的な考え方については、従来から変化はない

4.消費者物価指数は目標とする2%を1年半近く上回っているが、政策対応が必要になる可能性もあるのか

  • 7月の展望レポートでは、2023年度と24年度の物価見通しについて、上振れリスクの方がやや大きいというふうに判断した
  • 先行きの物価を巡っては、為替相場、資源価格の動向だけでなく、内外の経済動向や企業の賃金・価格設定行動に関する不確実性もきわめて高いと認識している
  • こうした点、次回の10月の展望レポートに向けて、ご指摘の要因も含めて、更に政府のガソリン価格抑制策の延長の影響も考慮に入れて、様々なデータや情報を丹念に精査していきたいと思っている
  • そのうえで、情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していくことで、物価目標の持続的・安定的な実現を目指していく方針

5.住宅ローンの固定金利の上昇傾向について

  • 長期金利が若干上昇しているので、固定金利の住宅ローン金利が上昇するということは当然起こっている現象かと思うが、上昇幅も限定的で、また、固定金利で借りている方の比率もそれほど高くないという現状で、マクロ的な影響は限定的と考えている
  • 今後こうした住宅ローン金利が上昇を続けていくのかどうかということは、当然今後の金融・経済・物価情勢およびそれを受けた政策の動きに大きく影響されるわけで、それについて今のところは、目標に達するという見通しが立っていないという中、現状維持ということなので、大きくこっちの方に動くということは、今の時点で言える状況ではないというふうに思っている

[ゴールデン・チャート社]

■関連リンク

FED&日銀ウォッチ

主要各国の金融政策スケジュール

■参考資料(外部サイト)

総裁記者会見要旨(2023年9月21、22日開催分)(日本銀行)

金融政策決定会合の運営(日本銀行)