【2023年6月15日~16日】総裁定例記者会見(要約) 2023年06月19日 18時05分
総裁記者会見要約(2023年6月19日)
1.今回の決定内容について
- 長短金利操作、いわゆるイールドカーブ・コントロールのもとでの金融市場調節方針について、長短金利操作の運用も含め、現状維持とすることを全員一致で決定
- 資産買入れ方針に関しても、現状維持とすることを全員一致で決定
2. 国内の経済・物価の現状と先行きについて
(1)景気
- 現状については、既往の資源高の影響などを受けつつも、持ち直している
- 先行きは、今年度半ば頃にかけては、既往の資源高や海外経済の回復ペース鈍化による下押し圧力を受けるものの、ペントアップ需要の顕在化などに支えられて、緩やかに回復していく
- その後は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まるもとで、 潜在成長率を上回る成長を続けるが、成長ペースは次第に鈍化していく可能性が高い
(2)物価
- 生鮮食品を除く消費者物価の前年比は、ひと頃に比べればプラス幅を縮小しているが、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響から、足元は3%台半ばとなっている
- 先行きは、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響が減衰していくもとで、今年度半ばにかけてプラス幅を縮小していくと予想
- その後は、マクロ的な需給ギャップが改善し、企業の価格・賃金設定行動などの変化 を伴うかたちで、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まっていくもとで、 振れを伴いながらも、再びプラス幅を緩やかに拡大していく
3.多角的レビューについて
- 過去25年間に実施してきた各種の非伝統的金融政策手段の効果について、それぞれの時点における経済・物価情勢との相互関係の中で理解するとともに、副作用を含めて金融市場や金融システムに及ぼした影響についても分析
- レビューでは、多様な知見を取り入れつつ、客観性や透明性を高める観点から、行内での分析だけでなく、既存の調査・サーベイ等を活用するほか、本支店でのヒアリング調査、金融経済懇談会での意見交換、更には公表物に関するパブリック・コメントの実施などを考えている。さらには、この先、学者や専門家などを招いたワークショップを開催する予定
- レビューに関する情報については、来月中をめどに、日本銀行のウェブサイトの中に多角的レビュー専用のページを設け、そこに順次掲載していく
4.現在の賃上げの状況について
- 名目賃金が緩やかな増加を続けているが、消費者物価指数がそれを上回って上昇しているため、実質賃金の前年比は足元マイナスで推移している
- 先行きは、賃金上昇率は昨年を大きく上回る見込みにある労使交渉の結果が、夏場にかけて実際の給与に反映されていくことなどから基調的に高まっていくと考えている
- ただし、来年以降の賃上げの持続性など、先行きについての不確実性はきわめて高いと考えている
5.物価動向の先行きについて
- 輸入物価の前年比は足元でマイナスに転じており、そのもとで、コストプッシュの影響は徐々に減衰していき、今年度半ばにかけて物価上昇率のプラス幅は縮小していくとみている
- 企業の価格・賃金設定行動には、変化の兆しもみられているというふうに思っており、この点は注目している
- 当面から少し先にかけての物価、インフレ率の見通しは当面下がっていく、どこかで反転してまた上がっていくという見通しの中、現在はこの下がっていくところの局面にあるが、下がり方が思っていたよりもやや遅いかなという感触を持っている
[ゴールデン・チャート社]
■関連リンク
■参考資料(外部サイト)
総裁記者会見要旨(2023年6月15、16日開催分)(日本銀行)