【2023年3月9日~10日】金融政策決定会合の結果(要約) 2023年03月10日 14時30分

前回(2023年1月18日公表)との比較まとめ

1.金融市場調整方針

 前回会合からの据え置きを決定。

①次回金融政策決定会合までの金融市場調整方針

【短期金利】日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用。

【長期金利】10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債を買入れ。

②長短金利操作の運用

 長期金利の変動幅を「±0.5%程度」とし、10年物国債金利について0.5%の利回りでの指値オペを、明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日、実施する。

 上記の金融市場調整方針と整合的なイールドカーブの形成を促すため、各年限において、機動的に、買入れ額のさらなる増額や指値オペを実施する。

2.資産買入れ方針

 前回会合から据え置き。

【ETF】年間約12兆円の残高増加ペースを上限に必要に応じて買入れ。

【J-REIT】年間約1,800億円の残高増加ペースを上限に必要に応じて買入れ。

【CP等、社債等】CP等は、約2兆円の残高を維持する。社債等は、感染症拡大前と同程度のペースで買入れを行い、買入れ残高を感染症拡大前の水準(約3兆円)へと徐々に戻していく。ただし、社債等の買入れ残高の調整は、社債の発行環境に十分配慮して進めることとする。

3.経済環境

【現状】消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により、4%程度となっている。
また、予想物価上昇率は上昇している。

【先行き】消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、政府の経済対策によるエネルギー価格の押し下げ効果に加え、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響も減衰していくことから、来年度半ばにかけて、プラス幅を縮小していくと予想される。
その後は、マクロ的な需給ギャップが改善し、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まっていくもとで、経済対策によるエネルギー価格の押し下げ効果の反動もあって、再びプラス幅を緩やかに拡大していくとみられる。


4.その他

  • 「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」継続
  • マネタリーベースは、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続
  • 新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる
  • 政策金利は、現在の長短金利の水準かそれを下回る水準での推移を想定


■当面の金融政策運営について(2023年3月10日)

1.日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定会合において、以下のとおり決定した。

(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(全員一致)

①次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。

短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。

長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。

②長短金利操作の運用

長期金利の変動幅を「±0.5%程度」とし、10年物国債金利について0.5%の利回りでの指値オペを、明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日、実施する。上記の金融市場調節方針と整合的なイールドカーブの形成を促すため、大規模な国債買入れを継続するとともに、各年限において、機動的に、買入れ額の増額や指値オペを実施する。

(2)資産買入れ方針(全員一致)

長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。

①ETFおよびJ-REITについて、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、必要に応じて、買入れを行う。

②CP等は、約2兆円の残高を維持する。社債等は、感染症拡大前と同程度のペースで買入れを行い、買入れ残高を感染症拡大前の水準(約3兆円)へと徐々に戻していく。ただし、社債等の買入れ残高の調整は、社債の発行環境に十分配慮して進めることとする。

2.わが国の景気は、資源高の影響などを受けつつも、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進むもとで、持ち直している。海外経済は、回復ペースが鈍化している。そうした影響を受けつつも、輸出や鉱工業生産は、供給制約の影響の緩和に支えられて、横ばい圏内の動きとなっている。企業収益が全体として高水準で推移するもとで、設備投資は緩やかに増加している。雇用・所得環境は、全体として緩やかに改善している。個人消費は、物価上昇の影響を受けつつも、感染症の影響が和らぐもとで、緩やかに増加している。住宅投資は弱めの動きとなっている。公共投資は横ばい圏内の動きとなっている。わが国の金融環境は、企業の資金繰りの一部に厳しさが残っているものの、全体として緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により、4%程度となっている。また、予想物価上昇率は上昇している。

3.先行きのわが国経済を展望すると、資源高や海外経済減速による下押し圧力を受けるものの、新型コロナウイルス感染症や供給制約の影響が和らぐもとで、回復していくとみられる。その後は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まるもとで、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、政府の経済対策によるエネルギー価格の押し下げ効果に加え、輸入物価の上昇を起点とする価格転嫁の影響も減衰していくことから、来年度半ばにかけて、プラス幅を縮小していくと予想される。その後は、マクロ的な需給ギャップが改善し、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まっていくもとで、経済対策によるエネルギー価格の押し下げ効果の反動もあって、再びプラス幅を緩やかに拡大していくとみられる。

4.リスク要因をみると、引き続き、海外の経済・物価動向、今後のウクライナ情勢の展開や資源価格の動向、内外の感染症の動向やその影響など、わが国経済を巡る不確実性はきわめて高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。

5.日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。
 当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している。

以上

[ゴールデン・チャート社]

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■参考資料(外部サイト)

金融政策決定会合の結果「当面の金融政策運営について」(日本銀行)

金融政策決定会合の運営(日本銀行)