【2022年9月21日~22日】金融政策決定会合の結果(要約) 2022年09月22日 13時16分

前回(2022年7月21日公表)との比較まとめ

1.新型コロナ対応金融支援特別オペ

 段階的に終了しつつ、幅広い資金繰りニーズに応える資金供給による対応に移行していくことを決定

  • 感染症対応にかかる中小企業等向けのプロパー融資分は、期限を半年間延長し、2023年3月末に終了。この間、毎月1回、3か月物の資金供給を実施。
  • 感染症対応にかかる中小企業等向けの制度融資分は、期限を3か月間延長し、2022年12月末に終了。この間、毎月1回、3か月物の資金供給を実施。
  • 「共通担保資金供給オペ」について、金額に上限を設けずに実施(9月27日に予定している次回実施分から変更)

2.金融市場調整方針

 長短金利操作について、前回会合から据え置き。

【短期金利】日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用。

【長期金利】10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債を買入れ。

 上記の金融市場調整方針を実現するため、10年物国債金利について0.25%の利回りでの指値オペを、明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日、実施する。

3.資産買入れ方針

 前回会合から据え置き。

【ETF】年間約12兆円の残高増加ペースを上限に必要に応じて買入れ。

【J-REIT】年間約1,800億円の残高増加ペースを上限に必要に応じて買入れ。

【CP等、社債等】感染症拡大前のペースで買入れを行い、買入れ残高を感染症拡大前の水準(CP等:約2兆円、社債等:約3兆円)へと徐々に戻していく。

4.その他

  • 「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」継続
  • マネタリーベースは、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで拡大方針を継続
  • 新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、必要があれば躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる
  • 政策金利は、現在の長短金利の水準かそれを下回る水準での推移を想定



■当面の金融政策運営について(2022年9月22日)

1.わが国の金融環境は、全体として緩和した状態にある。新型コロナウイルス感染症の影響は、中小企業等の一部になお残存しているものの、これらの中小企業等の資金繰りも改善方向にある。こうした情勢を踏まえ、日本銀行は、本日の政策委員会・金融政策決定会合において、新型コロナ対応金融支援特別オペを段階的に終了しつつ、幅広い資金繰りニーズに応える資金供給による対応に移行していくことを決定した(全員一致)。

(1)新型コロナ対応金融支援特別オペの取り扱い

① 感染症対応にかかる中小企業等向けのプロパー融資分は、期限を半年間延長し、2023年3月末に終了することとする。この間、毎月1回、3か月物の資金供給を実施する。

② 感染症対応にかかる中小企業等向けの制度融資分は、期限を3か月間延長し、2022年12月末に終了することとする。この間、毎月1回、3か月物の資金供給を実施する。

(2)金額無制限の共通担保資金供給オペの実施

上記オペの期限到来後も中小企業等の資金繰りを支えるとともに、より幅広い資金繰りニーズに応える観点から、幅広い担保を裏付けとして資金を供給している「共通担保資金供給オペ」について、金額に上限を設けずに実施することとする(9月27日に予定している次回実施分から変更)。

2.金融市場調節方針、資産買入れ方針については以下のとおりとする。

(1)長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)(全員一致)

①次回金融政策決定会合までの金融市場調節方針は、以下のとおりとする。

短期金利:日本銀行当座預金のうち政策金利残高に▲0.1%のマイナス金利を適用する。

長期金利:10年物国債金利がゼロ%程度で推移するよう、上限を設けず必要な金額の長期国債の買入れを行う。

②連続指値オペの運用

上記の金融市場調節方針を実現するため、10年物国債金利について0.25%の利回りでの指値オペを、明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日、実施する。

(2)資産買入れ方針(全員一致)

長期国債以外の資産の買入れについては、以下のとおりとする。

①ETFおよびJ-REITについて、それぞれ年間約12兆円、年間約1,800億円に相当する残高増加ペースを上限に、必要に応じて、買入れを行う。

②CP等、社債等については、感染症拡大前と同程度のペースで買入れを行い、買入れ残高を感染症拡大前の水準(CP等:約2兆円、社債等:約3兆円)へと徐々に戻していく。

3.わが国の景気は、資源価格上昇の影響などを受けつつも、新型コロナウイルス感染症抑制と経済活動の両立が進むもとで、持ち直している。海外経済は、総じてみれば緩やかに回復しているが、先進国を中心に減速の動きがみられる。輸出や鉱工業生産は、供給制約の影響が和らぐもとで、基調として増加している。企業収益は全体として高水準で推移している。こうしたもとで、設備投資は、一部業種に弱さがみられるものの、持ち直している。雇用・所得環境は、一部で弱めの動きもみられるが、全体として緩やかに改善している。個人消費は、感染症の影響を受けつつも、緩やかに増加している。住宅投資は弱めの動きとなっている。公共投資は横ばい圏内の動きとなっている。わが国の金融環境は、企業の資金繰りの一部に厳しさが残っているものの、全体として緩和した状態にある。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により、2%台後半となっている。また、予想物価上昇率は上昇している。

4.先行きのわが国経済を展望すると、ウクライナ情勢等を受けた資源価格上昇による下押し圧力を受けるものの、新型コロナウイルス感染症や供給制約の影響が和らぐもとで、回復していくとみられる。その後は、所得から支出への前向きの循環メカニズムが徐々に強まるもとで、潜在成長率を上回る成長を続けると考えられる。消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、本年末にかけて、エネルギーや食料品、耐久財などの価格上昇により上昇率を高めたあと、これらの押し上げ寄与の減衰に伴い、プラス幅を縮小していくと予想される。この間、マクロ的な需給ギャップが改善し、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まっていくもとで、基調的な物価上昇圧力は高まっていくと考えられる。

5.リスク要因をみると、引き続き、内外の感染症の動向やその影響、今後のウクライナ情勢の展開、資源価格や海外の経済・物価動向など、わが国経済を巡る不確実性はきわめて高い。そのもとで、金融・為替市場の動向やそのわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある。

6.日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続する。マネタリーベースについては、消費者物価指数(除く生鮮食品)の前年比上昇率の実績値が安定的に2%を超えるまで、拡大方針を継続する。
 当面、新型コロナウイルス感染症の影響を注視し、企業等の資金繰り支援と金融市場の安定維持に努めるとともに、必要があれば、躊躇なく追加的な金融緩和措置を講じる。政策金利については、現在の長短金利の水準、または、それを下回る水準で推移することを想定している。

以上

[ゴールデン・チャート社]

■関連記事

前回(7月20日~21日開催)金融政策決定会合の結果(要約)

経済物価情勢の展望、総裁定例記者会見の要約記事などの一覧はこちら

■参考資料(外部サイト)

金融政策決定会合の結果「当面の金融政策運営について」(日本銀行)

金融政策決定会合の運営(日本銀行)