【2022年4月27日~28日】総裁定例記者会見(要約) 2022年04月30日 16時58分

総裁記者会見要約(2022年4月28日)

1. 今回の決定内容と展望レポートについて

  • 長短金利操作、いわゆるイールドカーブ・コントロールのもとでの金融市場調節方針について現状維持を決定
  • 10年物国債金利について 0.25%の利回りでの指値オペを、明らかに応札が見込まれない場合を除き、毎営業日、実施することとする
  • わが国の景気の現状については、「新型コロナウイルス感染症や資源価格上昇の影響などから一部に弱めの動きもみられるが、基調としては持ち直している」と判断
  • 物価の現状は、生鮮食品を除いた消費者物価の前年比は、携帯電話通信料の引き下げの影響がみられるものの、エネルギー価格などの上昇を反映して、0%台後半となっている
  • 2023年度までの見通しを前回の見通しと比べますと、成長率については、2021年度と 2022年度が、感染症再拡大や資源価格の上昇、海外経済の減速の影響などから下振れていますが、2023年度はその反動もあって上振れている
  • 日本銀行は、2%の「物価安定の目標」の実現を目指し、これを安定的に持続するために必要な時点まで、「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を継続

2.生鮮食品を除く消費者物価指数は2%程度の伸びが当面続くと見込まれるが、金融緩和の出口の議論や物価上昇の見通しについて

  • 政策委員見通しの中央値をみますと、消費者物価の前年比は、携帯電話通信料下落の影響が剥落する 2022年度には、いったん 2%程度まで上昇率を高めますが、その後は、1%強までプラス幅を縮小すると予想
  • 2%程度の上昇率が持続しないのは、①海外中銀や国際機関と同様、原油等の資源価格が見通し期間を通じて上昇を続けるとは想定しておらず、そのもとでガソリンや電気代等のエネルギー価格の物価押し上げ寄与は先行き減衰していくと見込んでいるため、②資源輸入国であるわが国にとっては、最近の資源価格の上昇は、海外への所得流出につながるため、経済にマイナスに作用し、ひいては基調的な物価上昇率に対しても下押し圧力をもたらすと考えられるため
  • こうした物価見通しを踏まえると、企業収益や賃金・雇用が増加する好循環の中で、2%の「物価安定の目標」を安定的に実現するまでには、なお時間を要すると思われる

3.さらに円安が進んでも金融政策を見直す考えはないのか

  • 当面の物価上昇は、エネルギー価格の上昇が主因であり、持続性に乏しいと考えているため、現在の強力な金融緩和を粘り強く続けていく
  • 為替相場は、経済・金融のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいと考えている。最近みられるような為替市場における短期間での過度な変動は、先行きの不確実性を高め、企業の事業計画の策定等を難しくする面もあるため、為替相場の変動が経済・物価に与える影響を十分見てく

4.欧米の金利引き上げと方向性の異なる日銀の政策運営の難しさについて

  • 物価や経済は、欧米の場合、既にコロナ前の水準を回復しているが、わが国経済はまだコロナ前の水準を回復しておらず回復途上にあるため日欧米で状況が異なる
  • 他の国と同じ金融政策を行っているから容易であるとか、違うと大変だ、ということはない

5.連続指値オペの運用の明確化の文言を盛り込んだ理由について

  • 金融資本市場の一部で、このオペ実施の有無から日本銀行の政策スタンスを推し量ろうとする動きもみられていたため、そうした憶測を払拭して、日本銀行の従来からのスタンスを明確にすることが、市場の不安定性を減じることにつながると考えて行った
  • 為替相場が短期間に過度に変動することになると、先行きの不確実性を高めることにつながるので、為替相場の変動が経済・物価に与える影響を十分注意してみていきたいと思っている

[ゴールデン・チャート社]

■関連リンク

FED&日銀ウォッチ

主要各国の金融政策スケジュール

■参考資料(外部サイト)

総裁記者会見要旨(2022年4月27、28日開催分)(日本銀行)

金融政策決定会合の運営(日本銀行)