米主導の鉄道計画が始動=中国融資に陰り―アフリカ 2023年12月30日

 【ワシントン時事】アフリカ西部アンゴラの大西洋岸と、ザンビアとコンゴにまたがる内陸部に位置する世界屈指の産銅地帯「カッパーベルト」を結ぶ米国主導の鉄道計画が始動した。中国の対アフリカ融資の勢いに陰りが見える中、質の高いインフラ整備の実現を目指す取り組みの真価が問われる。
 米国は9月、欧州連合(EU)と共に、アンゴラのロビト港とカッパーベルトをつなげるインフラを整備し、物流や貿易を活性化させる「ロビト回廊」計画への支援を発表した。目玉はロビトとザンビア北西部をつなぐ鉄道の整備で、新設も一部含まれる。
 約16億ドル(約2300億円)の事業費のうち、アフリカ開発銀行が5億ドルを拠出する意向を表明。米国務省高官は「5年内に建設したい」と意気込む。1970年代に中国の支援で建設されたザンビアとタンザニアを結ぶ「タンザン鉄道」と接続すれば、大西洋とインド洋がアフリカ大陸を横断する鉄路で結ばれる。
 米欧のロビト回廊支援は、先進7カ国(G7)が2022年に設立した、途上国のインフラ整備を後押しする「グローバル・インフラ投資パートナーシップ(PGII)」の一環。PGIIには、中国の巨大経済圏構想「一帯一路」に対抗する狙いもある。
 中国は一帯一路の下、資源が豊富なアフリカへの融資を積極的に進めてきたが、自国の景気減速やアフリカ諸国の過剰債務問題の影響もあって減少傾向をたどる。米ボストン大の調査によると、中国のアフリカ諸国向け融資額は16年の計285億ドルをピークに減り続け、22年は10億ドル弱にとどまった。
 セネガル出身のセンベネ元国際通貨基金(IMF)理事は、中国の融資減が「インフラ投資への重大な打撃になる」と懸念する。インフラの不足を踏まえれば「G7主導の投資は中国の代替にはならない。アフリカは投資を、中国からもG7からも歓迎する」と強調。ロビト回廊のような事業を「PGIIが続けることが極めて重要だ」と訴えた。 

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