メキシコでホタテ加工へ=中国禁輸で米市場開拓―ジェトロ 2023年12月20日

 【ニューヨーク時事】日本貿易振興機構(ジェトロ)が、日本産ホタテをメキシコで加工し、米国に輸出する実証事業に乗り出すことが19日、分かった。東京電力福島第1原発の処理水海洋放出で主要輸出先だった中国が禁輸に踏み切ったことを受け、米国での消費拡大をにらんで新たな加工体制を構築する狙いだ。
 水産加工は、米国境から約100キロ離れた北西部バハカリフォルニア州エンセナダ市で来年2月から始める。北海道産の冷凍ホタテを現地の水産加工業者に輸出。殻を取り除くなど加工をした上で、鮮度や衛生状態が保たれているかどうかを検査する。
 ジェトロはまた、米流通業者を対象とした商談会を来年3月にロサンゼルスで開く。メキシコで加工されたホタテの魅力をアピールし、北米での消費拡大につなげる考え。事業の予算は日本政府が今年9月にまとめた風評被害の対策費を活用する。
 農林水産省によると、2022年の日本のホタテ輸出額は911億円。このうち中国向けが5割を占め、中国で加工された冷凍貝柱の多くが米国に再輸出されていた。しかし、中国が今年8月に日本産水産物の全面禁輸を講じ、加工体制を含むサプライチェーン(供給網)の新たな構築や販路拡大が急務となっている。
 ホタテは北海道で盛んに水揚げされているほか、青森県など東北地方でも生産されている。 

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