政府、軟弱地盤での工事着手へ=代執行訴訟20日判決―辺野古土砂投入5年・沖縄 2023年12月14日

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設計画で、政府が名護市辺野古沿岸部に土砂を投入してから14日で5年となった。20日には政府が軟弱地盤改良に伴う設計変更を求めて県を訴えた訴訟の判決が出る。移設反対の姿勢を堅持する県が敗訴する公算が大きく、政府は「代執行」により未着工の海域で工事を始める方針だ。
 国側が第1回口頭弁論で普天間周辺住民の騒音除去などの公益性を主張したのに対し、玉城デニー知事は、移設反対が7割を超えた2019年の県民投票などを根拠に「民意こそ公益」と反論した。福岡高裁那覇支部は国側の求めに応じて即日結審しており、実質的な審理をせずに判決が言い渡される。
 国側が勝訴した場合、県は指定された期限までに設計変更を承認しなければならない。承認しなければ、国は地方自治法に基づき代執行できる。県は上告できるが、最高裁で逆転勝訴が確定しない限り、代執行の手続きを止められない。
 埋め立て予定面積の3割に当たる辺野古崎南側では、投入土砂量がこの5年で99.5%(10月末)に達した。しかし、浅瀬の南側に対し北側には計画全体の9割の投入土砂量が残る。「マヨネーズ並み」とされる地盤に7万本余りのくいを打ち込み、国は米側への提供までに12年を要すると試算する。
 県は、最深部で地盤の強度が把握できていないなどとする技術的な問題点を指摘している。玉城氏は9日の講演で「たとえ私が裁判に負けて代執行されても絶対に(完成)できない。断言する」と訴えた。
 1996年の日米両政府の返還合意から27年余。沖縄に70%が集中する在日米軍専用施設の整理・縮小の象徴となる普天間移設だが、県内での基地の「たらい回し」に負担軽減の実感は乏しい。移設反対の民意の中、工事が大きく動きだす見通しとなっている。 

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米軍普天間飛行場の移設に向けた埋め立て工事で、土砂が投入され埋め立てられた沖縄県名護市辺野古崎南側=2022年2月25日、名護市
米軍普天間飛行場の移設に向けた埋め立て工事で、土砂が投入され埋め立てられた沖縄県名護市辺野古崎南側=2022年2月25日、名護市

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