自転車ルール130種類以上=認知度低く、違反常態化―車道通行、浸透に課題 2023年11月22日

 自転車の交通違反取り締まりに、反則金納付で刑事罰を免れる「交通反則通告制度(青切符)」の導入を警察庁が検討している。現在、自転車の交通違反は刑事処分の対象で、130種類以上の違反行為が規定されているが、認知度は低く違反が常態化している。
 例えば、歩道を走る自転車がベルを鳴らして歩行者をよけさせ、抜き去る行為。よく目にする光景だが、罰則がある「通行区分」や「歩道通行方法」などの違反に当たる可能性がある。
 自転車に乗る場合は、車道通行が大前提で、車と同じ左側通行が基本となる。歩道走行できるのは、(1)道路標識など交通規制で通行可能(2)運転者が13歳未満か70歳以上、身体障がい者(3)交通状況からやむを得ない場合―に限られ、歩行者に注意して徐行(時速8~10キロ程度)しなければならない。歩道内の車道寄りを走り、歩行者の通行を妨げる場合は一時停止が必要となる。
 国はここ十数年の間、車道通行の原則を自転車利用者に浸透させるべく、「自転車道」「自転車専用通行帯(専用レーン)」「矢羽根型路面表示」などの通行空間整備を進めてきた。
 しかし、それぞれ交通ルールが異なる。縁石や柵で区画された自転車道がある場合、車道や歩道は走らずに自転車道を走らなければならない。
 専用レーンは道路の両端が青く塗られ、白字で「自転車専用」との表示がある。レーン内の相互通行は禁止で、隣接する歩道は、自転車通行禁止の場合が多い。
 矢羽根型路面表示は、車道内に自転車も混在すると自動車に注意喚起するために整備された。法定外表示で、自転車の走行ルールは車道通行時と同じとなる。
 こうしたルールは130種類のごく一部だが、周知されているとは言い難い。自転車と歩行者の事故件数は近年増加傾向にあり、死者・重傷者数も横ばいで推移している。青切符制度の導入で、状況がどう変化するか注目だ。 

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