トヨタ、業績回復続く=コロナ影響克服、課題はEV―中間決算 2023年11月01日

 トヨタ自動車の2023年9月中間連結決算(国際会計基準)は、半導体の供給不足がほぼ解消したことや円安進行を背景に、売上高に当たる営業収益、営業利益、純利益いずれも過去最高を更新、業績回復が継続した。生産・販売が急減したコロナ禍を克服した格好だ。一方で、米中市場など世界経済の先行きには不透明感も漂う。中長期の成長に向けては、海外勢に比べて出遅れている電気自動車(EV)市場での巻き返しが課題だ。
 「二酸化炭素(CO2)削減と収益を両立したハイブリッド車(HV)が事業基盤の特長だ」。トヨタの宮崎洋一副社長は決算会見でこう胸を張った。トヨタは1997年に投入した「プリウス」などHVで成功。昨今のガソリン高もあって、燃費の良いHVの販売が世界的に好調なことが好業績をけん引している。
 半面、EVの開発や商品化の出遅れが鮮明となっている。2026年をめどに設計や生産方法などを見直した上で、次世代EVを投入。高級車ブランドのレクサスでは35年までに全車種をEV化するなど対応を加速させる。
 ただ、トヨタではEVにシフトし過ぎるリスクを警戒する意見も根強い。1年後に大統領選を控える米国では民主、共和両党の間で、脱炭素やEV政策で路線対立が先鋭化。バイデン政権がEV生産への支援を活発化させる中、トランプ前大統領は「米国の自動車産業を壊滅させる」と批判。政権交代が起きれば、自動車メーカーがEV戦略の見直しを迫られる事態も想定される。
 また、中国ではEVへの急速なシフトと消費低迷で日系自動車メーカーは軒並み苦戦を強いられている。こうしたリスク要因を抱える中、トヨタは「(中国でも)何とかシェアは維持できている」(宮崎副社長)というが、好調な業績をどこまで維持できるかが焦点となる。 

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「ジャパンモビリティショー」に出展した電気自動車(EV)の試作車を紹介するトヨタ自動車の佐藤恒治社長=10月25日、東京都江東区
「ジャパンモビリティショー」に出展した電気自動車(EV)の試作車を紹介するトヨタ自動車の佐藤恒治社長=10月25日、東京都江東区

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